研究課題/領域番号 |
19K04800
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
式 王美子 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (10512725)
|
研究分担者 |
坂西 明子 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00316085)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 都市住宅政策 / 公営住宅 / 家賃補助 / 低所得世帯 / 民間賃貸住宅 / 居住地移動 / 居住地選択 / 居住移動 / 空間的機会格差 / 脱工業化 |
研究開始時の研究の概要 |
2017年に「住宅セーフティネット法」が改正され、日本の住宅政策においても低所得世帯を対象とした、家賃補助を含む民間賃貸住宅の活用が導入され始めているが、家賃補助の利点である居住地選択の向上、即ち「機会への移住」効果については議論が乏しい。本研究は、都市の衰退を背景に家賃補助制度が普及した米国都市を主な研究対象とし、自治体へのヒアリング調査や家賃補助受給者の行政データの分析等を通して、①空間的機会格差の問題化と家賃補助の政策化の過程、②家賃補助制度における移住効果の課題と可能性を実証的に明らかにし、③今後の日本の大都市の都市政策・住宅政策における居住支援の展開のあり方について検討する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、米国都市と日本の都市を主な研究対象とし、住宅政策における家賃補助施策の移住効果の可能性と課題を考察し、今後の日本の大都市の都市政策・住宅政策における、多角的・複合的な居住支援の展開のあり方について検討する、ことを目的としている。 2022年度は、米国連邦政府都市住宅開発省(HUD)が所有する公営住宅及び家賃補助受給者に関する過去約25年間の時系列データを使って、ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ボルティモア、ボストン、ロサンゼルスの住宅管理戸数が多い米国大都市における住宅施策の変遷について分析を実施した。分析の結果、ニューヨーク以外の大都市では、公営住宅戸数が1996年と2020年を比較すると約40%から80%減少しており、その一方で、家賃補助の戸数はこれらの都市すべてにおいて約2か4倍に増えていること、特にシカゴやボルティモアの産業都市においてその傾向が著しいことがわかった。また、日本の住宅政策の分析として、過年度より実施してきた京都市公営住宅申込者についての研究の成果が、学術誌『都市住宅学会』が査読付き論文として掲載された。 昨年度、コロナ禍による大学や行政機関の長期的な閉鎖により大幅に遅れていた米国連邦政府都市住宅開発省(HUD)が所有する家賃補助受給者の個人データの取得作業が進み、UCLA人口研究所の分析室にデータを移行し保管することができた。しかしながら、研究に協力しているUCLA ルイス研究所(Lewis Center for Regional Policy Studies)との協議を重ねてきたが、UCLAにてデータ分析を実施する人材の確保が極めて困難であることから、本データによる研究プロジェクトを断念することした。現在、UCLAやHUDとの研究プロジェクトの中止、データの処理について協議中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による様々な影響を踏まえて研究計画の見直しを続けている。その結果、一定の研究作業を実施することができたが、以下の理由により研究作業がやや遅れている。 ①2020年度における国際共同研究強化Aの採択を受けて米国研究についてより長期的な研究に向けて研究計画の見直しを実施した。 ②世界的なコロナ・ウイルスの拡大を受けて以降、2020年3月から2021年9月にかけて、研究対象の米国において、関係大学や関係政府機関が長期的に閉鎖し、オンラインによる研究の調整や作業を進めたが、研究作業が大幅に遅滞した。 ③日本におけるコロナの拡大や長期的なコロナ対策により、大学の教育業務及び本人・家族が長期的に影響を受け研究エフォートを削減せざるを得なくなった。
|
今後の研究の推進方策 |
前述の研究作業の遅れに関して次のように対応したい。 まず、国際共同研究強化Aの採択やコロナ禍により影響による研究の遅れへの対応のため、研究期間をさらに1年間延長することにする。 現在、UCLA人口研究センターで保管されているHUDの家賃補助受給者データについては、データ分析スキルを持つ研究員の雇用のめどがたたなかった。UCLAにおける研究協力者と協議を実施し、分析の継続の可否について検討した結果、本データ利用による実証研究については断念することにした。2023年度は、UCLAとHUDで締結されたライセンス契約の中断にむけて法的な作業の調整を実施していく。 過年度に実施したロサンゼルス住宅政策課へのヒアリング調査のフォローアップとして、住宅政策課への情報の確認やその他の居住支援団体へのヒアリング調査を検討する。これらのヒアリング調査の分析を実施し、研究成果をまとめるほか、米国で得られた知見の日本の都市政策や住宅政策へ適応についての考察を行う。
|