研究課題/領域番号 |
19K04814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
是澤 紀子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (40431978)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 神社 / 本殿 / 中世 / 近世 / 文化財 / 修理 / 工匠 / 移築 / 神社建築 / 再生 / 移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、神社本殿の細部装飾が発展してゆく時期にあたる中世後期から近世に焦点をあてて、これまでに刊行された文化財修理工事報告書や修理現場で公開された情報から新たに得られた建築の変遷の情報を包括的に分析し、(1)造営に関与した各地の工匠別にみる神社本殿の特性と本殿背後の境内整備および敷地内移築との関係、(2)春日大社旧社殿にみる神社本殿の特性と河川等に基づく立地および境内環境との関係、を考察することで、工匠の移動と神社本殿の移動(移築)の実態を捉え、その流通に支えられた神社の再生の手法を明らかにするものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、中近世の神社を対象として、(1)神社建築を造営した工匠の移動と、(2)神社本殿建築の移動(移築)に着目し、その流通に支えられた神社の再生について建築史学的に解明することである。 (1)に関しては、中近世の建築意匠と技法調査について現地調査をふまえて実施するなかで、とくに畿内とその近国における神社本殿の内法長押を対象として、正面見廻しや枕捌にみられる特徴と変化について明らかにし、それらの意匠をもつ建築を造営した工匠との関係を見出した。 内法長押の正面見廻しを用いた技法は、近世に向けて装飾化を伴い変化していく中世神社本殿において、正面性の表現に一役を担ったと考えられる。とくに内陣と外陣が区分されることで、外陣正面が板扉の場合は祭礼時などに暫定的な開放性を獲得し、また外陣正面が格子であれば見え隠れによる恒久的な開放性をもつとみられ、ここに正面の内法長押を見廻して透かし彫りの彫刻欄間を入れることで開放性は装飾化とともに高まることがうかがえる。このような意匠は、室町後期までには摂津や紀伊の一間社ですでに確立していた。また、こうした展開の背景には、四天王寺系の大工による造営関与が共通要素として確認できた。これらの成果は2023年4月に「畿内中世神社本殿の内法長押に関する意匠と技法―見廻しと枕捌にみる近世初頭への変容」(日本建築学会計画系論文集,806,pp.1378-1387)として発表予定である。 (2)に関しては、現在の春日大社本殿および若宮神社本殿から移築された畿内各地の旧社殿を比較検討するなかで、(1)と共通する神社の正面性に関する課題に着目し、内法長押と繋虹梁との納まりについて、奈良県内の春日造との比較も踏まえて分類を行い、旧社殿の特質を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度と一昨年度には広く現地調査が実施できなかったために遅れが生じていた。一方、今年度は、近畿地方のほか、中部・中国・九州地方など各地の調査を一部実施できたことで、それらの差異と共通性を確認できたことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は今年度の成果を論文として発表するとともに、実施できなかった現地調査について可能な限り実施する予定である。とくに神社建築と共通する意匠と技法を探るべく寺院建築調査くわえて検証を行う。
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