研究課題/領域番号 |
19K04823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊東 龍一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (80193530)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 彫物 / 江戸時代 / 九州 / 建築 / 伝搬経路 / 彫物師 / 大工 / 仏師 / 伝搬 / 彫刻装飾 / 彫物大工 / 荘厳 / 寺社 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の近世建築においては、彫物(彫刻装飾)はその大きな特徴となっている。彫物は、日光東照宮が鎮座する関東地方が、彫物の多用される地域とされるが、彫物が使用される時期、彫物の新しい技法が採用さ れる時期などを見る限り九州地方の寺社建築は関東地方に比べて同じ傾向が早くからみられ、彫物の題材や彫物の表現は他地域と明らかに異なる。本研究は、近世九州の彫物の独自性をより鮮明にするとともに、それが生みだされた理由や背景を、建築とその彫物、関与した工匠のみならず、関連が予想される 仏像や仏具、厨子などの彫物やそれらに関与した仏師、彫物師にまで範囲を広げてその活動 を考察し、その伝搬経路から明らかにする。
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研究成果の概要 |
近世九州地方の神社等にみられる彫物(建築装飾)は、優れた表現や技法が、他地方よも早くからみられる傾向があるので、その伝搬経路を検討した。 熊本県球磨地方にみられる意匠性の高い薄肉彫は、湯前町の御大師堂須弥壇羽目が最古例で、制作した関東常州住の権大僧都・賀吽(頼源)は、常州真言宗・雨引山楽法寺に関連する僧とみられるので、意匠・技法は関東からもたらされたことになる。太宰府からの伝搬を跡付けられなかったが、鹿児島の龍柱にはやはり琉球や大陸からもたらされた可能性が想定される。また、熊本北部の大彫物は18世紀以降新たな展開をみせ、大分市には大型パネル状彫物を採用した江戸初期の事例も新たに見いだされた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近世初期に文化的に大きな中心とみなされていた近畿地方ではなく、九州地方に独自の彫物の意匠・技法が伝えられた一つの経路として、琉球等の海外の他に関東地方からであったことを指摘できたことの意義は大きい。一般的には徳川家康が入る前の関東には文化的に見るべきものがないと思われている関東にこれだけの優れた技法・意匠をもった彫物がは含まれていたことは注目に値する。
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