研究課題/領域番号 |
19K04829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
藤田 勝也 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (80202290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 住宅 / 寿命 / 前近代 / 住宅観 / 移築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、前近代日本における住宅の寿命の実態解明である。支配者層の住宅として古代に初発する公家の住宅、中世以降にあらわれる武家の住宅について、寿命の実態を詳細に明らかにする。 課題の一つは、住宅の存続期間と終焉の要因ならびに、時代的傾向の全体像の把握。二つ目は、寿命に長短をもたらす修理や改修の履歴、それを反映する住宅の個性の解明、さらに三つ目に、寿命をめぐる住宅観の実態解明である。 木造であるという物理的要因に加え、住宅の文化性、社会性を投影するのが寿命である。従来の様式史とは異なる寿命という新たな視点から、日本住宅史の再構築を目指す。本研究はそのための基礎的研究として位置づけられる。
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研究成果の概要 |
平安貴族の住まいの寿命(存続期間)ならびに、寿命をめぐる住宅観について、以下の研究成果を得た。 平安宮内裏の平均寿命は約6年。貴族邸では11~12世紀に平均約15~16年。10世紀に寿命50年超え、11世紀に100年超えの事例がある。しかし12世紀は最長でも50年程度である。鎌倉時代13世紀の京外では平均約8年程度だが、100年超の事例もある。ただし長寿命は御堂化・寺院化によるもの。貴族邸の短命化の主因は頻発する火災である。火難から免れない厳しい居住環境が、長寿命を期待しない諦観、永続性の放棄という住宅観を醸成した。裏打ちするのは旧宅ではなく新造宅の解体・移築である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
平安貴族住宅の寿命の実態が、本研究によってはじめて具体的に明らかになった。平均寿命は20年にも満たないが、平安宮内裏の約6年よりは長く、里内裏常態化の要因が寿命の差異にあることが示された。東三条第や花山院は平安貴族邸の代表例とされてきた。しかしきわめて長寿命の特異な存在であった。短命化の主因となった火災の頻発は、住宅を動産的に扱う住宅観を醸成した。現代の住宅観とは大きく異なる点である。
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