研究課題/領域番号 |
19K04830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
大林 潤 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, 室長 (40372180)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | クメール建築 / 西トップ遺跡 / プリア・ピトゥ遺跡 / ポスト・バイヨン期 / テラス遺跡 |
研究開始時の研究の概要 |
カンボジア・アンコール遺跡群内のクメール建築の研究は、残存する遺跡・碑文等の資料数の多さと、建築自体の大きさや装飾性から、王朝最盛期の12世紀末頃の遺跡が中心におこなわれてきた。一方で、13~15世紀のアンコール王朝末期(ポスト・バイヨン期)については、遺跡の注目度も低く研究が進んでいない。 本研究では、ポスト・バイヨン期のクメール建築に焦点を当て、この時期の遺跡である西トップ遺跡を中心として、平面形態や構造、石材等の建築的観点から、ポスト・バイヨン期の遺跡を整理し、それぞれを比較研究することにより、この時期のクメール建築の特徴を明らかにし、ポスト・バイヨン期の遺跡の新しい価値基準を与えたい。
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研究実績の概要 |
本研究は、カンボジア・アンコール地域のクメール建築において、13~15世紀のアンコール王朝末期(ポスト・バイヨン期)の遺跡を整理し、それぞれを比較研究することにより、この時期のクメール建築の特徴を明らかにすることを目的とする。 2022年度は、新型コロナウィルス蔓延の影響で、カンボジア・西トップ遺跡での現地調査を1回のみおこなった。調査では、東テラス北面外装について、外装の一部を撤去して下層遺構の確認をおこない、写真撮影、実測調査、調書作成などをおこなった。その結果、後世の増築部と考えられていた東テラスが、2019年度の調査で確認した下層ラテライト遺構に沿って構築されていることが判明し、これまでの想定と異なる知見となった。したがって、これまでの西トップ遺跡の構築の変遷について修正を加える必要があり、2023年度の課題となった。また、仏像台座の下層で確認した遺構の延長部分が確認できず、東テラスの前身以降については、さらなる調査が必要であることが明らかとなった。 このほか、類例調査としてアンコール・トム内のプリア・ピトゥ遺跡の実測調査をおこなった。本遺跡は5つの祠堂で構成される複合遺跡であるが、そのうち祠堂Xについては、西トップと同時期のポスト・バイヨン期の遺構であると指摘されている。したがって、西トップ遺跡との比較検討のため、平面図・断面図作成のための実測調査と、石材のモールディングの実測、写真撮影、調査作成をおこなった。この調査は完了していないため、2023年度も引き続き行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、カンボジアでの現地調査と資料収集を柱として計画されており、新型コロナウイルス蔓延のためカンボジアへの渡航ができず、現地調査を一切行うことができなかった。2022年度にようやく現地調査が再開できたが当初の予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航が可能となったため、これまでできなかった現地調査を2023年度に行う予定である。また、これまでの調査成果を取りまとめ、西トップ遺跡の変遷の再検討と建築的特徴を取りまとめる予定である。
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