研究課題/領域番号 |
19K04873
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
岩田 知明 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所, 研究系長 (50358397)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 構造用接着剤 / 防食塗膜 / 異種材接合 / 造船 / ミリオーダー接着層厚 / 引張せん断強度 / CFRP / 鋼 / 構造接着継手 / 耐久性評価 / 設計強度 / 鋼/CFRP異種材 |
研究開始時の研究の概要 |
異種材接合用にエポキシ系接着剤の実用化が進む自動車・航空機分野でも、長期信頼性の知見不足が課題で、ボルト併用などで用いられている。造船分野では、溶接部材並の数mm厚さの充填可能性が求められ、これに適したアクリル系接着剤のデータはエポキシ系接着剤以上に限られている。鋼/CFRP異種材継手の環境耐久性評価の結果、船級ガイドラインの設計許容強度を下回る事例が確認されており、被着材である鋼に対する防食塗膜も含めて接着部の腐食の影響を評価する必要がある。吸水後乾燥回復試験により強度保持率が高く変動係数の低い適切な塗膜条件を抽出し、各種環境劣化促進試験により設計許容強度と防食塗膜要件の関係を明らかにする。
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研究実績の概要 |
暴露部では基材に錆が生じないよう防食塗料が施工されている。現行の溶接と同じく接着でも接合部には基材と共に防食塗料が施工されるため、防食塗料の影響を考慮して耐久性評価を行う必要がある。実時間より短い時間で耐久性を評価するためには、劣化を加速させる必要があるが、防食塗膜の防食評価に用いられるJIS K5600-7-2:1999「塗料一般試験方法-第7部:塗膜の長期耐久性-第2節:耐湿性(連続結露法)」では、温湿度条件50℃95%RHのみ規定され、暴露時間については規定されておらず、連続暴露では実船の通常の環境に比べ劣化が促進され、被着体が発錆に至る。よって、実船の暴露部で既に使用されている防食塗料施工条件では基材に錆が生じない、劣化加速試験の温湿度条件を定める必要がある。本研究では、加速条件の上限は50℃90%RHであることを確認した。 温湿度条件が50℃80%RHまたは50℃90%RHの劣化加速試験、耐塩水噴霧試験、キセノン暴露対候性試験において、劣化後の強度保持率(劣化後の平均強度/初期の平均強度)は、いずれも0.5以上であった。また、劣化後の変動係数(標準偏差/平均強度)はいずれも0.16以下であった。ここで、設計段階で仮定される不良率の上限である許容不良率を1/10,000と設定すると、劣化後の変動係数0.16以下は、劣化後のばらつき係数(必要とされる接着強度の下限/劣化後の平均強度)0.4以上に相当する。 鋼やCFRPなどの被着体を防食塗膜が適切に保護できている状態であれば、接着部も被着体と共に保護される。(一財)日本海事協会の構造用接着剤使用のためガイドラインで採用されている、劣化後のばらつき係数0.4以上、劣化後の強度保持率0.5以上、追加の安全率0.5は、保護塗膜が効果的であれば、暴露環境であっても適切であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度~令和4年度にかけて、接着に関連する国際会議のいずれも現地開催のみでWeb会議が併催されなかったため、社会情勢を考慮して参加を見送った。講演を計画していた4年毎に開催される接着分野の国際会議が、開催期日が1年遅れの令和5年度となり、社会情勢が改善したと判断したことから参加し講演を行った。この接着分野の国際会議での講演のうち、力学に関する講演を集めた接着分野の科学雑誌の特集号が予定されており、査読による指摘事項を踏まえて、考察の見直しを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度に開催された接着分野の国際会議での講演のうち、力学に関する講演を集めた接着分野の科学雑誌の特集号が予定されており、令和6年度は、投稿予定。
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