研究課題/領域番号 |
19K04881
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
石井 晃 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (70183001)
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研究分担者 |
川畑 泰子 群馬大学, 社会情報学部, 助教 (20773708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | オピニオンダイナミクス / ランダムネットワーク / 合意形成の条件 / マスメディアの影響 / 社会の分裂 / 理論 / 合意形成 / 社会物理学 |
研究開始時の研究の概要 |
オピニオンダイナミクスの代表的な理論はHegselmann-Krause(2002)によるBounded Confidence Modelであるが,この数理モデルは人々が意見交換によって少しずつ歩み寄って合意の妥協点を見つける事が前提になっている。しかし,現実の社会の意見交換では歩み寄らない場合も少なくない.そこで石井は2018年に意見交換によって反発する場合とマスメディアなどの影響も含めた新しい理論を構築した。これをN人へ拡張してシミュレーションし、様々なWeb上のテキストデータを用いた測定からの裏付けをして、これを社会システム工学・ウェブ情報学に活かす。
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研究実績の概要 |
本研究は信頼関係と不信関係の両方を扱えるように従来のオピニオンダイナミクス理論を拡張して,合意形成だけでなく,社会の分裂やsegrigationなども扱い、広く一般の社会で行われる全ての場合を記述できる理論を構築する。この石井によって考えられた新しい理論は2018年10月の社会経済系の力学の国際会議DySES2018(パリで開催)で口頭発表され,オピニオンダイナミクス理論の専門家を含む多くの人から独創的な理論であると認めていただいた。この新しい理論をTrust-Distrust Modelと名付け、これを用いると,今までのBounded Confidence Modelでは記述できなかった社会の分裂やsegrigation,意見の分極を扱えるようになる.このTrust-Distrust Modelを適用して、カリスマ的人気の人2人の対立や、社会の意見分布に影響を与えるマスメディアの効果、分裂した社会での信頼と不信の割合に依存した意見の分極など政治学への応用に適しているとわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2019年度)は石井による新しいオピニオンダイナミクスの理論の基礎が前年までに発表されたことを受け、以下の事に応用した。①大人数で計算する ②カリスマ的な人を導入 ③全員から不信感をもたれている人を導入 ④社会の分裂 ⑤広告による影響 ⑥ホンネとタテマエの2成分のオピニオンダイナミクス理論を導入 ⑦人々の間のネットワーク構造(ランダムネットワーク、スケールフリーネットワーク)を導入 2年度(2020年)は①では300人から1000人に増やした計算を行い、④で論文2本、⑤で論文2本、⑥で論文1本、⑦で論文1本を書いた。また、社会の人々の55%以上が信頼していると合意形成するという合意形成の閾値をシミュレーション計算から発見した。 多くの国際会議にオンライン参加して積極的に発表し、オピニオンダイナミクスの国際会議GDNではTrust-Distrust Modelが国際的に認められた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこれまでの2年間でのTrust-Distrust Model(石井のオピニオンダイナミクス)の研究成果を元に、特に政治学へ応用できる可能性が高いことがわかったので、これを重視して政治物理学と言えるくらいに本研究の成果をアピールすることを目指す。この2年間の研究成果から今年度5月に選挙学会に招待され「オピニオンダイナミクスと政治学への応用」という題で講演する。また、ヨーロッパの出版社InTech社から招待されて「信頼の心理学」の中の1章を執筆するので本研究の全成果を盛り込んで英語で発表する。また、新たに社会のネットワークを多重ネットワークに分解する方法を開発したので、例えばSNSのような社会全体のネットワークと隣人や職場などの隣人ネットワークの和としてオピニオンダイナミクスを計算することを行い、発表する。その成果を今年度後半の国際会議で発表し、論文を出す。
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