研究課題/領域番号 |
19K04896
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
石田 武志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (50438818)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 非平衡熱力学 / 散逸構造 / セルオートマトン / チューリングパターン / 自己組織化 / 確率格子モデル / 化学マスター方程式 / 人工化学 / エントロピー生成率 / エントロピー / 反応拡散システム / 人工生命 |
研究開始時の研究の概要 |
生物や社会は局所的な相互作用から自己組織的に形成され、エネルギーと物質の代謝を行いながら自律的に駆動している散逸構造である。本研究は、「非平衡熱力学シミュレータ」の開発を行い、散逸構造が創発され持続するための条件や、複雑に進化するための条件を検討する基盤を構築するものである。このシミュレータにより、生態系の構造を見通すことや、都市が誕生し発展する様子を形として見ることが可能となる。このような複雑な形態を自己組織的に構築する技術は、工学が目指す究極の目標の一つである。
|
研究実績の概要 |
生物や社会は局所的な相互作用から自己組織的に形成され、エネルギーと物質の代謝を行いながら自律的に駆動している。このような複雑な形態を自己組織的に構築する技術は、工学が目指す究極の目標の一つである。本研究は、「非平衡熱力学シミュレータ」の開発を行い、散逸構造が持続するための条件や、複雑に進化するための条件を検討する基盤を構築するものである。当該シミュレータは、要素の動きや相互作用を記述できるようにセルオートマトン(CA)モデルによる粒子モデルを基盤として、反応拡散方程式等による「形態を創発する自己組織化モデル」を組み入れ、さらに局所エントロピーを評価できるものである。また複雑な形状を表現できないという従来のCAモデルの欠点を克服し、少数セルで多様な相互作用を記述できる「多要素型CAモデル」を提案し、形状の創発を「設計」するためのシミュレータを目指すものである。 2020年度までに開発したチューリングパターンを生成するCAモデルを用いて、2022年度においては、「多要素型CAモデル」の基盤となるプログラムを完成することができ、細胞様形状の創発(境界形成)、エネルギー代謝、自己複製の現象をシミュレーションすることが可能となり、論文として出版することができた。2023年度においては、このモデルに遺伝的コードを記述する長鎖の粒子を導入することで、エネルギー代謝を制御する仕組みを導入し、よりエネルギー代謝性能がよい細胞様形状が生き残るという進化能力を示すことができ、論文として出版することができた。今後は、このモデルの開発をさらに進め、遺伝的な情報コード自身の創発プロセスを実現するモデルへと拡張を行うことを予定している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」において示したとおり、2022年度において「多要素型CAモデル」の基盤となるプログラムを完成することができ、細胞様形状の創発(境界形成)、エネルギー代謝、自己複製の現象をシミュレーションすることが可能となり、論文として出版することができた。また、このモデルにおいてエントロピー評価が可能なモデルとして構築し、配置エントロピーやエントロピー生成率をCA空間においても定量的に評価できる基盤を構築し論文としてとりまとめた。当初予定より、さらに1年の延長を申請したが2023年度においては、このモデルに遺伝的コードを記述する長鎖の粒子を導入することで、エネルギー代謝を制御する仕組みを導入し、よりエネルギー代謝性能がよい細胞様形状が生き残るという進化能力を示すことができ、論文として出版することができた。このように2023年度においては、「非平衡熱力学シミュレータ」の基盤を構築し、散逸構造が持続する現象をシミュレーションするプログラムを構築でき、当初の研究目的を達成できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度においては、以下のことを検討している。(1)「多要素型CAモデル」の開発をさらに進め、短い遺伝的な情報子から長い情報子が自己組織的に創発するプロセスを実現するモデルの開発を行う予定である。これにより、エネルギー代謝する細胞状の形状の創発、遺伝情報子の創発と進化の創発プロセスを同時に実現するモデルが完成する予定である。(2)このプロジェクトで開発した「多要素型CAモデル」をさらに一般化して、「散逸構造シミュレータ」として完成させ、群れロボットの制御や、生態系や地域環境への応用方法を考察してまとめる。(3)「散逸構造シミュレータ」の一般公開用のモデルを検討していく。
|