研究課題/領域番号 |
19K04902
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
小林 重人 札幌市立大学, デザイン学部, 准教授 (20610059)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 協働 / シビックテック / 自律性 / DX / 非技術者 / 技術者・非技術者 / ソーシャル・キャピタル / コミュニティ / コンピュータ・シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,市民が主体となりテクノロジーを活用して地域の課題解決を行う「シビックテック」を実践するコミュニティを対象として,そのコミュニティ内外における技術者と非技術者間の協働に影響する要素を同定し,協働が発生・促進するメカニズムを解明することを目的とする.個人の自律性を高める要素や情緒的報酬に着目し,それらがコミュニティ内外における環境の違いによってどのように変化し,そしてそれらがどのように協働を発生・促進させるのかを社会調査と計算機実験を統合することで明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,シビックテックコミュニティ(以下,CC)を対象に,技術者と非技術者の協働がもたらす価値と協働に影響する要素を明らかにし,両者の協働がシビックコミュニティ内外で促進するメカニズムを解明することである. これまで主にICTを活用した地域課題に取り組む非営利のコミュニティを対象として調査を行ってきたが,我が国におけるDX推進の流れを受け,令和4年度は企業や行政といった組織内でボトムアップに発生するDXコミュニティの協働について調査を実施した.具体的は公立大学におけるDX推進を阻害する要因を発見すべく,研究協力者と共にエスノグラフィー調査を実施し,そこで得られた知見を職員にフィードバックしてDX推進に向けた議論を行った. 調査結果から現状の業務や仕組みを当たり前のものと認識していることが協働による業務改善まで至らないこと,そして現状維持バイアスの保持がDX化を妨げていることがわかった.また,職場で整備されている業務改善に使用可能なソフトウェアについても学習する機会のなさやノウハウ習得までのハードルの高さから活用されていないことも明らかとなった.ただし,今回の調査結果を職員と共有したことによって,DX推進を自分ごと化として捉える認識の変化が発生したため,今後は認識の変容をどのように自律的な行動まで移すことができるかが鍵となる. そのための方法として,テクノロジーを活用した業務改善の一例を我々が示し,その有用性を体験してもらうことで,自ら能動的にソフトウェアを利活用するためのワークショップの実施を予定している.また現在までに明らかとなっている協働推進の要素をワークショップやサポートに組み込むことで,組織内におけるコミュニティが持続的に発展していくためのデザイン手法の検証も実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度ではこれまで新型コロナウイルスの影響によって実施できていなかった協働に影響を与える要素をCC内外でどのように生み出しているのか,そして協働によって生み出された要素がCCメンバーに対してどのように作用しているのかを明らかにするためのインタビューを国内外のシビックテックコミュニティに対して実施する予定であった. しかし,令和4年度も新型コロナウイルスの影響によって国内外での移動が制限され,インタビューの実施は一部の公共セクターだけにとどまった.しかし,インタビューだけでは得られない現場レベルでの課題をエスノグラフィー調査によって見いだせたことは大きな収穫である.
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今後の研究の推進方策 |
現在までに判明している技術者と非技術者の協働がもたらす価値と協働に影響する要素についてまとめた論文を執筆し,本研究のまとめを行っていく. 令和4年度から公立大学で進めているDX推進のワークショップの内容を検討し,こちらもボトムアップに部署間協働が発生・持続できるデザイン手法について実践を通じて明らかにしていく.またプログラミング未経験者であっても開発可能なアプリケーションの作成方法だけでなく,開発モチベーションを維持させるための理論的基盤についても明らかにしていきたい.
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