研究課題/領域番号 |
19K04903
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
一ノ瀬 元喜 静岡大学, 工学部, 准教授 (70550276)
|
研究分担者 |
佐山 弘樹 早稲田大学, 商学学術院, 教授(任期付) (30345425)
伊東 啓 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (80780692)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 社会的ジレンマ / 囚人のジレンマゲーム / ゼロ行列式戦略 / 避難群衆 / オンライン実験 / エージェントベースモデル / セルオートマトン / クラウドソーシング / ネットワーク科学 |
研究開始時の研究の概要 |
環境問題や違法駐車など自分一人くらいは社会のルールを破っても良いだろうという個人の利己的心理が集団全体を悪い方向に導く社会的ジレンマは現代社会の問題である.従来は行動実験と数理モデルの二つのアプローチから,ネットワーク構造のジレンマ解決有効性について検証されてきた.しかし,これらの手法単独では時間的に変動する人間関係で生じる社会的ジレンマへの対応が難しい.本研究では,オンライン実験により動的ジレンマ状況のデータを収集し,ビッグデータ分析を行う.これを進化ゲームとしてモデル化し,計算機シミュレーションに拡張する.これにより,動的ジレンマを解決に導く頑健な人間関係のネットワーク構造を明らかにする.
|
研究成果の概要 |
本研究では動的な社会ジレンマに対して以下の成果を得た.まず近年発見されたゼロ行列式戦略において,「ゲームが途中で終わってしまうかもしれない可能性」(割引因子)や「相手のとった行動に対する観測誤差」(観測エラー)を考慮してもゼロ行列式戦略が存在することを明らかにした.次に,群衆避難という動的な社会的ジレンマに対して,エージェントの回転行動が避難時間を早めることを明らかにした.最後に,レヴィ飛行とよばれる特殊な移動をしながら動的な社会的ジレンマゲームを行うシミュレーションにおいて,人が移動しながら良好な関係性を築くことが協力社会の実現につながる可能性を示した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
環境問題など,自分一人くらいは社会のルールを破っても良いだろうという個人の利己的心理が集団全体を悪い方向に導く社会的ジレンマは実際の人間関係では時間的に変動し,ジレンマ解決が難しくなるが,従来のアプローチではこれに対応できていなかった.本研究では,この動的ジレンマに対応することに成功した.したがって,複雑な人間関係からなる現代社会において,人の移動などによって組織やコミュニティなどの構成要員が時間的に入れ替わっても,これに対応し協力社会を維持する仕組みの構築が可能となる.さらには,大規模災害時の群衆避難やパンデミック時の隔離による感染制御に有効なグループ構成方法に応用することも可能である.
|