研究課題/領域番号 |
19K04913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
椎名 孝之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90371666)
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研究分担者 |
今泉 淳 東洋大学, 経営学部, 教授 (00257221)
所 健一 一般財団法人電力中央研究所, エネルギーイノベーション創発センター, 上席研究員 (50371662)
徐 春暉 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (70279058)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 確率計画法 / 最適化 / 多期間計画 / スケジューリング / 不確実性 |
研究開始時の研究の概要 |
数理計画法や最適化手法は現実の様々な分野に応用されているが、現実の意思決定問題は、変動要因を含む。不確実性の下での最適化を取り扱う確率計画法に対しては、大規模問題への対応が求められている。確率計画問題が大規模複雑な問題となるのは、問題に含まれるシナリオ数が大規模となるためである。本研究では、確率計画法の理論的な側面の研究を行い、問題に含まれる変動をより正確に表現できるモデリング手法を検討する。効率的なシナリオの生成法と大規模シナリオの縮約を考え、また現実問題では重要である追加投資などを考慮したモデルを開発する。これらのモデルを現実の問題に応用し、同時に効率的な解法を開発することを目的とする。
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研究実績の概要 |
多期間におけるサプライチェーンネットワークの設計と運用は、不確実性を持つ大規模計画である。また生産費、輸送費、在庫費などのシステム全体の費用を最小化すると共に、サービスレベルの向上をすることは難しい。これに対して、不確実な状況下で効率的なサプライチェーンのシステムを構築するために、確率計画法によって施設配置問題や在庫計画問題などの多くの研究が行われている。 本研究では、貸出と返却を考慮した計画を対象とする。シナリオツリーにより多期間における需要の変動を表現する。その際、発生した需要が後に返却されることを想定する。また現状の生産能力では需要を満たすことが困難であると想定したため、新たに供給施設を設置することとした。この条件の下、顧客の需要を満たし返却を考慮した総費用を最小化する在庫融通問題のモデルの提案とそのモデルの数値実験より有用性を示すことを目的としている。 レンタル製品の多期間における貸出量と返却量の2つの変動を考慮し、各拠点で製品貸出と返却を行う。その際、貸出された製品は同じ拠点に返却される。各拠点は工場への発注と拠点間の在庫融通により製品を確保する。また工場への発注の際には、固定発注費がかかる。需要が不確実なことにより発生する在庫不足に対して追加費用が発生することとする。さらに既存の工場に加え、新たに1つ工場を設置する。設置費用と在庫管理にかかる費用と追加費用の総和を最小化することが可能となった。 貸出量と返却量のシナリオ生成については、シナリオツリーを用いて貸出量と返却量の変動を表現する。顧客は計画期間の中で1 回だけ借りて1回返す。ただし最終期に貸出した製品は返却されないこととする。まず、1 回だけ借りて1回返すという条件の下で貸出量と返却量のサンプルを生成しシナリオファンを作った後に、K-means 法を用いてシナリオツリーに統合することにより効率化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、貸出量のシナリオに時系列変化を加え、施設配置などの意思決定にどう影響がある のかを検証する。また在庫融通が行われない場合のモデルも検証し、在庫融通が行われる場合と費用を比較する。貸出量のシナリオの時系列変化には、安定期・成長期・衰退期の3 つを取り上げる。なおt 期における品切れ率の上限t = 0:05 とし、品切れ率が5% 以下になるようにした。数値実験により、安定期・成長期では、新しく工場が1つ設置され、衰退期では設置されていないことが分かる。また成長期・衰退期では、罰金と在庫費が大きくなった。在庫融通ありの費用を基準に GAP(%)= (在庫融通なし- 在庫融通あり)÷在庫融通あり× 100 と定義する。GAPは在庫融通を用いることによる費用の削減率を表す。数値実験により、この値は安定期、成長期、衰退期でそれぞれ0.9、2.4、64.7となることより在庫融通を行うことの有効性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、在庫融通問題を貸出と返却を考慮した多期間確率計画モデルに拡張し、貸出量のシナリオに対して時系列変化を与え、その特徴を数値実験により検討した。将来の予測される貸出量の変化やサービスレベルに応じての意思決定への活用を推進したい。
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