研究課題/領域番号 |
19K04950
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 俊昭 九州大学, 工学研究院, 助教 (90294892)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 土砂災害 / 地下水 / 比抵抗 / MT法 / 探査装置 |
研究開始時の研究の概要 |
シミュレーションを用いて、土砂災害を引き起こす地下水分布を比抵抗変化により把握するために必要な仕様を決定し、小型MT探査装置を試作する。安価で高性能な最新の半導体を積極的に採用し、磁場の測定はインダクションコイルではなく小型の磁場センサを採用し、小型化を行う。探査装置の耐ノイズ性を高め測定精度を向上する。複数の探査装置をワイヤレスセンサネットワークで接続し、探査システムを構築する。浸透水の分布を測定し、探査装置の問題点を洗い出し、測定回路やソフトウェアに改良を加えて、実用的な小型MT探査装置を開発する。
|
研究実績の概要 |
試作した小型MT法探査装置を評価するために測定実験を実施した。測定実験を行った地域の地質構造は、腐葉土の表層の下部に20mから50m程度の厚さで風化花崗岩である真砂土が分布しており、その下部に基盤としての花崗岩が存在していることが知られている。近くには湧水があり、花崗岩の上面を浸透した地下水の一部が湧き出ていることが考えられている。十分な降雨があれば、地下水位の上昇に伴って、比抵抗の変化が期待できる。測定の期間中、一時的に降雨があったものの、雨量が十分ではなかった。その結果、測定された比抵抗に有意な変化は認められなかったが、比抵抗の値のばらつきが大きくなったことが確認された。これは、腐葉土に雨水が浸透し、電極周辺の土壌の含水率が変化して電極の接地抵抗が変化したことによる影響ではないかと推測された。また、降雨の間、測定された電場に対してノイズが大きくなることが確認された。そのため、安定した精度の高い測定を行うために、降雨によるノイズの影響を低減するような測定の工夫が必要であることがわかった。 微小な比抵抗変化を検知するために探査装置の感度を上げると、ノイズの影響が顕著になってしまう。特に都市部で電気的なノイズが大きい。異なる複数か所で測定されたノイズの周波数スペクトルを確認すると、測定を行う場所により特有の周波数帯のノイズが存在することがわかった。特定の周波数帯のノイズを低減するために、探査装置の測定回路を改良するとともに、測定に先立ちノイズ環境を確認し、場所ごとに適切に対応することの重要性が確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や世界的な半導体不足に伴い、探査装置の製作に必要な電子部品や機構部品などで調達が困難なものがあったため製作できなかったり、設計変更を余儀なくされた。また、シミュレーションで改良内容の有効性が確認できたものの、実際の探査装置に実装できなかった。そのため、入手可能な範囲の部品をやりくりしながら可能な限り開発を行った。 探査装置の有効性を確認するための野外実験は、学外の実験が困難な場合があり、大学キャンパス内の場所に変更して小規模な実験を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
探査装置の製作や改良に必要な半導体や機構部品の取得に努め、探査装置の改良を目指す。 天候や場所に左右されず、精度の高い測定を行うために、よりいっそうのノイズ除去回路やノイズ除去アルゴリズムの改良に取り組む。 またその一方で、山間部などの電磁的ノイズが少ない静穏な環境で野外実験を実施し、測定装置の測定精度の評価と改良を行う。
|