研究課題/領域番号 |
19K04993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
都留 智仁 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (80455295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 固溶強化 / 転位運動 / 熱活性化過程 / 第一原理計算 / 強度 / 元素設計 |
研究開始時の研究の概要 |
材料の力学特性は結晶構造によって大きく異なり,体心立方格子(BCC)を持つ金属の力学特性は,合金元素や濃度,温度によって複雑な挙動を示す.本研究ではBCC金属の変形の基礎となる転位運動がキンク機構によることに注目する.そして,合金元素の熱活性化過程への影響を定量的に評価し,有限温度の転位運動を解析するとともに力学特性を評価する枠組みを構築するとともに,これらを包括的に理解することで電子状態に基づくユニバーサルな合金設計手法を構築する.
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研究成果の概要 |
BCC金属では力学特性は合金元素の濃度と温度が関係する複雑な挙動を示すことが知られており,あらゆる条件下で特性を予測することは困難である.本研究では,BCC金属の変形の基礎となる転位運動がキンク形成と運動の2つの熱活性化過程によることに注目した.合金元素の転位運動への影響を原子モデルから直接評価し,その結果と熱活性化過程に基づく理論をつなぐ枠組みを開発することによって,温度に依存した複雑な力学挙動の記述を可能にした.そして,合金元素との相互作用は従来理論である弾性相互作用に基づく機構に対して,マトリクスと合金元素の電子間相互作用が支配的な役割を果たすことを明らかにした.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から,BCC金属において合金元素の違いによって系統的な変化を生じる要因が,力学的な相互作用に対して,マトリクスの転位と合金元素の電子の結合が支配的な影響を及ぼすためであることが明らかになった.このような化学的な相互作用は,古典的な強化理論では考慮することができないため,BCC合金の力学特性の理解にはとりわけ,電子結合を考慮した議論が必要であることを示唆している.これは,基礎的な特性を電子論的解析によって評価することで,合金化によるマクロな力学特性を予測することが可能であることを示しており,計算科学を用いた今後の材料設計において,重要な役割を果たすと考えられる.
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