研究課題/領域番号 |
19K05112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26060:金属生産および資源生産関連
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研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
石川 敏弘 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学研究科, 教授 (60756104)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 金属チタン / 表面 / 光触媒機能 / アナターゼ型酸化チタン / 表面機能化 / 光触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
不動態被膜に覆われている金属チタン表面を、大気中酸化によりアナターゼ型の光触媒機能膜に変換させる方法は皆無である。本提案では、簡便な大気中酸化により優れた光触媒活性を有するアナターゼ型酸化被膜に変換する新規なプロセスを開発する。我々は最近、金属チタンの最表面の原子が、四面体構造からなるシリカと原子レベルで接触している場合、シリカと類似構造からなるアナターゼ型酸化膜が高温の大気中でも安定に生成し得る可能性を見出した。この結果を踏まえて、本研究では金属チタンにシリカの影響を及ぼし続ける簡単なプロセスを開発し、大気中酸化によりアナターゼ型酸化膜に変換するという金属表面の機能化に関する基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
私たちはこれまで、チタニア系光触媒材料の開発と金属チタン表面の機能化に関する研究を行ってきた。その中で、金属チタン表面に存在する不動態膜(ルチル型酸化膜)の生成メカニズムを熱力学的に明らかにさせ、チタン表面を簡便な手法で光触媒機能を有するアナターゼ型酸化膜を形成させることに成功した。既存技術においても、金属チタン表面の機能化には、強酸・強アルカリ処理と高圧条件下での水熱反応や、高電圧を必要とする陽極酸化法と言った、比較的複雑な手法が採用されており、簡便な空気中酸化によるアナターゼ型酸化膜形成に関する報告は今回の我々が初めてとなる。ここでは、私たちがこれまでに開発してきたTiO2/SiO2系光触媒材料に関する知見、すなわち「シリカが共存する場合はアナターゼ型酸化チタンが1200℃の大気中でも安定に存在すると言う知見(Natureに発表)」を金属チタン表面の酸化反応に適用している。我々は、金属チタン表面に存在する不動態膜の除去法や機能化に関する研究を行っている中で、シュウ酸のような還元力を有する有機酸で処理するだけで、湿潤条件下で安定な水素化チタン(TiH2)が生成し、その表面にシリカ層を生成させた状態で大気中酸化するだけで、金属チタン表面にアナターゼ型酸化膜が生成する可能性を見出した。この知見を基に金属チタン表面に優れた親水特性を発現させることにより、疑似体液中で極めて優れたアパタイト形成能を示した。これらの基礎的知見を基に金属チタン表面にSiO2固溶アナターゼ傾斜層を形成させ骨形成能、ならびに付着細菌の完全分解能を付与できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属チタンは、優れた耐食性を示し、生体適合性にも優れていることから歯科材料や骨補強材等にも多く用いられており、極めて安全性の高い材料であるが、生体活性に乏しく骨代替材等に用いる場合は、骨形成能を付与させる目的で、水熱反応(強酸・強アルカリ処理+高圧条件)や陽極酸化(強酸処理+高電圧条件)、酸素プラズマ処理と言った比較的複雑な手法を用いた表面処理が施されてきた。我々は本研究において、マイルドな有機酸による還元処理を行った後の大気中酸化だけで、金属チタン表面に優れた骨形成能と人体内埋設前の付着細菌ならびに毒素の完全分解能を付与する簡便な方法を開発した。具体的には、金属チタンの表面を室温の有機酸で還元処理したのち、有機チタンを含むポリシロキサン溶液を噴霧し大気中で加熱するだけで、金属チタン表面に骨形成能ならびに人体内埋設前の付着細菌の完全分解能を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
金属チタン表面に骨形成能と人体内埋設前の付着細菌ならびに毒素の完全分解能を発現させる簡便な処理法を開発し、更に多能性幹細胞を用いた骨生成メカニズムの解明と骨代替材としての技術開発ならびに細菌・毒素の完全分解能を生かした水質浄化技術を確立させる。
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