研究課題/領域番号 |
19K05250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北尾 真司 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (00314295)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 放射光メスバウアー分光 / 時間分析 / エネルギー分析 / 放射光メスバウアー吸収分光法 / 核共鳴散乱 / 時間エネルギー同時分析 / メスバウアー分光 / 高速時間分析 / 高速エネルギー分析 / アバランシュフォトダイオード(APD)検出器 / 時間ーエネルギー分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、通常のメスバウアー分光では、これまでほとんど行われてこなかった、時間分析とエネルギー分析を同時に行うという手法を開発し、メスバウアー分光を新たなステージへ拡大するための測定系の開発を目的とする。本研究の目的を達成するために、高速時間分解検出器からのシグナルの測定時刻と波高(エネルギー)分析した情報をシグナルごとに記録するという手法を用いる。これにより、測定が終了した後に、時間とエネルギーの任意の分析をすることが可能になる。本研究では、測定系の構築と応用実験による実証を行い、これまで測定することができなかった情報を得る新たな実験手法を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究は、放射光メスバウアー分光において、これまでほとんど実施されていなかった、時間およびエネルギーで分析するメスバウアー分光法の開発を目的とするものである。本研究を実現するため、これまで計測系や検出器系の開発を実施してきた。本研究の主要な開発要素である測定系は、エネルギー情報を含むシグナルの波高の情報を時間情報に変換し、時間情報と波高の情報の両方をそれぞれ時間情報として記録して、任意の時間領域とエネルギー領域で分析したメスバウアースペクトルを再構成できる測定系を開発することにある。これまでの研究において、自作の波高ー時間変換器(ATC)を用い、そのシグナルをマルチチャンネルアナライザ―(MCS)で時間分析をすることで、本測定系が時間およびエネルギー分析メスバウアー分光として実用可能であることを確認できている。本年度においては、これを用いたさまざまな実証実験を行い、時間分析やエネルギー分析を応用した新しいメスバウアー分光の実験の実現を目指して研究を実施した。本年度に新たに実施した実験として、時間的に変動する系において、電子状態が時間的に変化することを時間分析メスバウアー分光を用いて分析する手法についての実験を実施した。本研究による実験で、測定系が良好に使用可能であり、時間分析メスバウアー分光の実験が可能なことを実証することができた。また、対象となるメスバウアー核種を拡大するため、いくつかの新しい核種の実験を実用化するための開発を行った。本研究で開発した手法を用いて、今後さまざま実験に応用することで、メスバウアー分光の新たな展開が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においてはいくつかの応用実験を行って、さまざまな実験に応用できることを実証することを目指しているが、本年度において、時間的に変動する系の時間分析メスバウアー分光の実験の実施や、波高を分析することで異なる情報が得られる系についてのエネルギー分析メスバウアー分光の実験の実施など、新しいメスバウアー分光の道を開くいくつかの新たな実験に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究においては、時間およびエネルギー分析メスバウアー分光について、いくつかの実証実験を行うことを目的としているが、現状では比較的測定しやすい試料を用いた実証実験にとどまっている。今後、さまざまな試料の応用実験に展開するためには、測定効率や解析の利便性などを向上させて、実験の効率を上げることが望ましい。そのために、多素子化した検出器のそれぞれの素子ごとの回路系を準備して測定効率を上げることや、解析を容易に行うために、任意の時間やエネルギーを取り出してスペクトルを再構築する汎用的な解析プログラムを準備することなどを進めていく。
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