研究課題/領域番号 |
19K05260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高桑 雄二 東北大学, マイクロシステム融合研究開発センター, 特任教授 (20154768)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 光電子分光法 / リアルタイム計測 / 酸化反応キネティクス / 酸化誘起歪み / 準安定吸着酸素分子 / 少数キャリア / 多数キャリア / 欠陥準位 / 熱膨張係数 / Si(001)表面 / Ni(111)表面 / リアルタイム観察 / 急昇温 / 急冷 / 熱歪み / RHEED-AES / 表面反応 |
研究開始時の研究の概要 |
固相/気相反応は触媒や半導体デバイスの絶縁膜形成など多くの産業で利用される化学反応である。この反応により固相の生成物が固相基板上得られる場合、基板との熱膨張係数の違いによって、温度変化に伴い熱歪みが発生する。この歪みによって新たな反応サイトが形成されると、歪みによる反応促進機構が発現すると考えられる。このような定性的理解の一方、歪みによる反応促進機構の定量的モデル化はいまだなされておらず、その発現機構は未だ明らかになっていない。このような背景を踏まえ、本研究では歪みと反応速度の同時観察により、学術上だけでなく産業上も重要な「熱歪みを考慮した拡張型反応速度論」を構築する。
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研究成果の概要 |
急昇温・急冷によりSiO2/Si(001)界面での酸化促進を見出し、SiO2成長速度と酸化誘起歪みの同時計測からSiO2膜とSi基板の熱膨張係数の相違から生じる点欠陥発生が原因であることを示した。SiO2/Si界面の空孔は多数キャリア捕獲により化学反応活性を増し、化学吸着したO2分子は少数キャリア捕獲によりSiO2形成される。一度のO2分子捕獲でSiO2形成する一段階酸化反応経路と、二度行われる二段階酸化反応経路が競合して進行する。O 1s光電子スペクトル解析から求めた化学吸着したO2分子存在量は酸化速度との直線的相関を示し、一段階および二段階酸化反応経路モデルが妥当であることを証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ドライ酸化においてSiO2体積膨張にともなうSiO2/Si界面での点欠陥発生(空孔+放出Si原子)がO2分子の解離吸着サイトとして機能すること、その化学反応活性の発現のためにはSi基板からの多数キャリアと少数キャリアの捕獲が不可欠であることを解明した。このように酸化誘起歪による点欠陥発生・消滅の繰り返しは、恰もSiO2/Si界面でのO2反応の“触媒”として欠陥が機能していることをは重要な発見である。先端デバイスのゲートスタックにおいて、欠陥を消費しながらSiO2膜形成が進行する本研究のモデルは、デバイスの高信頼性・低消費電力などの実現のために実用的寄与をなるものである。
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