研究課題/領域番号 |
19K05303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30020:光工学および光量子科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
牧野 哲征 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (70311363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 非線形フォトニクス / マテリアルインフォマティクス / 解探索 / 最適化問題 / 非線形光学 |
研究開始時の研究の概要 |
局所クーロンエネルギー・電子格子結合度・移動積分が強相関電子系材料における非線形光学特性に与える影響を明らかにし、巨大な光非線形性・超高速な光応答をもつ新たな非線形材料開発の基盤的知見を得ることを目的とする。 YO, SmO, LuOといった新規な希土類系強相関薄膜を対象とし光非線形性データの背後にある相関関係を抽出するための機械学習援用の有用性について実証する。具体的には、電気・分光測定により電子格子結合度などを決定したり、電子構造を計算したりする。上述の因子の中から主効果を同定することにより、非線形材料の開発やマテリアルズ・インフォマティクスの高度化につなげる。
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研究実績の概要 |
電子工学および応用物理学分野などさまざまな学術分野で注目を浴びることとなっている電子強相関系材料群について、光デバイスや全光コンピューティングなどへの応用に対する期待のもと、昨年度はフォノンに関する解明に取り組んだ。なぜならばそれは振電相互作用という形で電子物性や光学的な非線形性にも関係するためである。また、その特性についての解明は言うまでもなく非常に重要な課題である。しかし、当該強相関系においては現状フォノン特性に関わる研究の先行例は、ほとんど存在しない。本研究計画ではその電子構造特性・光学特性・振動状態の解明を目的とし、スピン偏極を考慮した電子構造やフォノン分散の計算結果を時間分解分光法で得られた知見と比較した。 また、上述のような光非線形性に対するより深い理解のために光学評価は検証手段としての重要性が知られるところである。そのような代表的な評価手法として紫外可視分光法がある。ここでは電子構造特性との比較を容易ならしむるため、計測量から誘電関数への変換が行われる。しかし、これらの変換が逆問題となる場合があること、またそれに伴う多解問題が存在することが知られており、それが高速かつ人に依存しない自動解析方法の発展の妨げとなってきた。そのような問題を最近急速に勃興してきた人工知能など情報工学的手法により解決するためここでは紫外可視分光法自動解析の実装方法の確立をベースとし、最近急速に発展してきた教師あり機械学習手法の有効性を検討することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電子工学や応用物理学分野などで注目されている電子強相関系材料について光デバイスなどへの応用への期待のもとフォノンに関する解明に取り組んでいる。それは振電相互作用という形で電子物性や光学的な非線形性にも関係するためであり、その特性についての解明は重要な課題である。しかし、当該強相関系においては現状フォノン特性に関わる研究の先行例はほとんど存在しない。本研究計画ではその電子構造特性・光学特性・振動状態の解明を目的とし、スピン偏極を考慮した電子構造やフォノン分散の計算結果を時間分解分光法で得られた知見と比較した。 また、上述のような光非線形性に対するより深い理解のために光学評価は検証手段としての重要性が知られるところである。代表的な評価手法として紫外可視分光法がある。ここでは電子構造特性との比較を容易にするため、計測量から誘電関数への変換が行われる。しかし、これらの変換が逆問題となる場合があること、またそれに伴う多解問題が存在することが知られており、それが高速かつ人に依存しない自動解析方法の発展の妨げとなってきた。そのような問題を解決するためここでは紫外可視分光法自動解析の実装方法の確立を目的とし、最近急速に発展してきた教師あり機械学習手法の有効性を検討した。 昨今の新型コロナ禍のため、当研究室においても実験的な研究や測定が部分的に遅延している。しかし、解除後に行う実験的研究においてはその分を取り返すべく、より効率的な運営などを進めていく所存である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度において強相関電子系の光物性に関わる有効モデルに基づいた研究の結果を国際的な学術大会で発表する予定であった。しかし新型コロナウィルス感染症があまねくまん延する中、対面形式での研究発表を行うことは現実的ではなくなった。その結果、オンライン形式での学会発表へと変更された。いいかえれば世界的に多くの学会が中止・延期もしくはオンライン形式での開催となった。情報交換,研究知見交換の機会が減るばかりでなく、それに起因して研究の円滑に進めるに必須となるアイデア入手の機会もなくなった。当該形式での学会発表においては研究者間交流などの制約という問題があり、深い学術的議論を進められなくなった。上述したような問題の存在により,昨年度に国際学会で成果発表する予定であった研究の結果の一部を可能な限り、今年度に対面形式にて開催されるような国内学会で成果発表する予定である。そのためにはそれに関わる必要経費を今年度に繰り越しておくことがよりよい選択であると考えた。上記の事情により科学研究費の補助事業申請期間を一年間延長承認申請し受理された。
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