研究課題/領域番号 |
19K05322
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坂下 弘人 北海道大学, 工学研究院, 特任教授 (00142696)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 原子炉過酷事故 / デブリベッド / 沸騰伝熱 / 限界熱流束 / 過酷事故 / 溶融炉心 / 沸騰 |
研究開始時の研究の概要 |
福島原子力発電所の事故以降,現行の原子炉では,溶融した炉心が原子炉容器底部を貫通する前に格納容器内を水張りしておき,落下した溶融炉心を冷却する過酷事故緩和策が検討されている.この緩和策の成否は,溶融炉心から水への沸騰除熱限界(CHF)が,溶融炉心上部に堆積した粒子状デブリ(溶融炉心が粒子状に固化したもの)によりどのような影響を受けるかによって決まる.しかし,この体系におけるCHF発生機構は明らかになっておらず,緩和策の有効性は不明である.本研究は,各種実験を通してCHF発生機構を明らかにし,事前水張りによる過酷事故緩和策の有効性を立証することを目的とする.
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研究成果の概要 |
軽水炉における過酷事故緩和策である格納容器内の事前水張りによる溶融炉心冷却特性について検討を行うため,溶融炉心プール上面の固化クラスト層を模擬した伝熱面上に,水中で分散した固化デブリを模擬した発熱粒子を堆積させた沸騰形態での限界熱流束について実験を行った.その結果,粒子径が1mm以下では,既往モデルの予測と同様にCHFは粒子層の発熱量とともに単調に減少する一方,粒子径が3mm以上では,CHFは粒子層の発熱量に依存しないことが判明した.以上の結果は,格納容器内での事前水張りによる過酷事故緩和策の有効性は粒子径によって異なり,粒子径3mm以上の場合は有効な過酷事故緩和策になる可能性を示唆している.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
軽水炉の過酷事故時に格納容器に事前水張りをする過酷事故緩和策の有効性を検証するためには,溶融炉心プール上面に形成される固化クラスト上に,水中で分散した粒子状デブリが堆積した状況でのクラスト面上の限界熱流束(CHF)の挙動が重要となる.既往のモデルでは,CHFは粒子層の発熱量の増加とともに単調に減少するため緩和策は成立しないと予測する.しかし,本研究の結果,CHFの特性は粒子径によって異なり,粒径が3mm以上ではCHFは粒子層の発熱量に依存しないことが判明した.したがって,事前水張による緩和策はクラスト面上への堆積デブリ径が3mm以上の場合は有効であることが判明した.
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