研究課題
基盤研究(C)
シェールガスは資源輸入国が輸出へ転じるほどの潜在的な力を持ち、北海道の中生界や新生界の分布域でも賦存が期待されています。地表でガス徴や油徴が認められながら層序・構造がよく判らない、ガス根源岩の地表分布が限られている、ガスの素になる有機物の性状が不明、有機物がガスに変わるための古地温が測定できなかった、などの問題で殆んど手つかずのままでした。この研究は近年の層序・構造の知見に加え、過去から現在にわたり地表や地下で採取・保存された岩石試料から、岩石ができた時の温度を顕微鏡下で精度よく求める方法を用いて、ガス・石油鉱床として有望な地域・層準を絞り、燃料資源鉱床の新規開発に必要な情報を提示します。
鉱物を切り出した堆積岩試料の全炭素は10%に達し大部分が有機態である。炭質物と共存・共生する自生鉱物の流体包有物均質化温度範囲は約75-100℃であった。同一箇所で垂直(埋没深度)方向に向かい温度の系統的な上昇は認められず、地点間での変化も大きいことから、白亜系・古第三系とも有機物の熟成に実効性をもつ被熱の時期は古第三紀以降の可能性が高い。包有物自体が微細に加え気相の占める容積も小さいものの、冷却実験の結果は炭化水素からなる気相の存在を示す。これらの知見より、メタン生成に必要な根源物質は普遍的に存在し、深部のほか浅所であっても局所的な被熱の影響を受けた層準ではガスが生成していた可能性が高い。
当地域では夾炭古第三系に伴うメタンガスが炭鉱の坑内で、古第三系の下位にくる白亜系露頭では石油の兆候が知られていたが、1960年代以降は陸上調査・研究が無いまま今に至る。本研究で質量%の桁の炭素(殆どが有機態炭素)を含む堆積岩試料を地表・坑内・ボーリング現場から得て、このうち堆積物が岩石化する過程で新たに生じた鉱物(自生鉱物)を検討した結果、岩石がおかれた温度は約75ー100℃、鉱物中の流体包有物は有機物の分解過程で生じたメタンを含む事例もあることが判った。白亜系や古第三系に加え、ガス・石油の後からの移動次第では先白亜系と新第三系にも新たな燃料資源鉱床が存在する可能性が高いことが明らかになった。
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