研究課題/領域番号 |
19K05368
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
宮崎 充彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (00378598)
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研究期間 (年度) |
2019-11-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 時間分解赤外分光 / 溶媒和クラスター / 溶媒和ダイナミクス / 分子動力学計算 / 赤外分光 |
研究開始時の研究の概要 |
化学反応のメカニズムは、反応が起きる分子、原子だけでなく、その周囲を取り囲む溶媒分子の挙動により大きな影響を受ける。これまで、溶媒の挙動は、均一な溶媒分子集団による集合的作用として扱う事が一般に行われてきた。 本研究では、この均一集団モデルを超えて個別分子の運動に基づく分子論的な溶媒和効果理解の基礎を確立するために、三つ以上の分子から構成される気相溶媒和クラスターをモデル系として、溶媒和ダイナミクスの実験的観測と非経験的分子動力学法を用いた解析により、特に溶媒-溶媒間相互作用の溶媒和ダイナミクスに果たす役割の解明を主要なテーマとして研究を行う。
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研究成果の概要 |
本研究課題は、光励起、化学反応に伴う溶媒和ダイナミクスを個別分子の運動に基づき分子論的に理解することを目的としている。イオン化に誘起される溶媒分子移動反応について、気相水和クラスターを用いてサイズ依存性、内部エネルギー依存性の観点から研究を行った。 その結果、水分子間の相互作用が溶媒運動に大きな影響を与えることを明らかとした。また、内部エネルギーの変化により、反応経路が複雑に分岐することも見出した。さらに、水素結合が保持されたより安定な構造の方が高エネルギーのイオン化で生成量を増やすといった、単純な熱力学的説明とは逆の結果が生じることも見い出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
化学反応では、反応物だけでなくそれを取り囲む溶媒分子の運動が反応機構、速度に大きな影響を与える。しかし、溶媒分子は大量に存在するため、一つ一つの溶媒分子の運動に基づいて溶媒運動の役割を研究することはできていない。 本研究では、溶媒分子間の水素結合相互作用が溶媒運動のメカニズムにどのように影響するかの一端が初めて明らかにされた。特に、溶媒分子間の水素結合強度が溶媒運動のエネルギー依存性を大きく左右することが明らかになった。これらの結果は、化学反応機構の分子論的理解の基礎を与えるほか、理論計算のベンチマークとしても重要な意味を持つであろう。
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