研究課題/領域番号 |
19K05378
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
|
研究機関 | 北陸大学 (2020-2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2019) |
研究代表者 |
齋藤 大明 北陸大学, 薬学部, 准教授 (40506820)
|
研究分担者 |
中尾 裕之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (00805020)
森下 徹也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (10392672)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 分子動力学法 / 脂質フリップ / 膜貫通ペプチド / 分子シミュレーション / 自由エネルギー / ペプチド / 脂質二重層膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では分子シミュレーション技術を駆使することによってMペプチドによる脂質フリップ誘起の分子メカニズムを解明する.脂質フリップを誘起するペプチドや脂質の動的構造や相互作用,脂質フリップ能を分子シミュレーションを用いて具体的に明らかにする.またTMペプチドの長さやアミノ酸配列を系統的に変化させた系のシミュレーションを実施し,得られた計算データを集積・解析することによって脂質フリップを誘起するペプチドの新たな分子設計指針を与える.研究は実験研究者の協力の元で行い,計算方法・モデルの有効性についても検証する.最終的に計算によって設計・最適化された新規TMペプチドの合成・評価実験も行う.
|
研究実績の概要 |
脂質二重層中のリン脂質分子の二層間の移動(フリップフロップ)は、親水性の頭部基が疎水性の炭化水素領域を通過しなければならないため、脂質のみの人工膜ではほとんど起こらない現象である。脂質スクランブリングは様々な細胞機能の発現・維持に関与しているものの、その構造的特徴は未だ明らかにされていない。 最終年度は、ペプチド二量体の中央にGlu残基を複数導入した膜貫通ペプチドの分子動力学(MD)シミュレーションを実行し、ペプチドの膜内における特徴的な構造を詳細に解析し、スクランブラーゼ活性に与える影響について考察した。 本研究では親水性残基(Glu)を中央付近に持つ膜貫通ペプチド二量体モデル(Q2-C1, Q2-C2, Q2-C3, Q2-C4, Q3-C)を作成し、POPC脂質二重層膜系でのMDシミュレーションを実施した。シミュレーション後は脂質膜系では、原子分布(膜厚方向)や膜厚・脂質鎖長を解析し、ペプチド二量体系では膜内における原子分布(膜厚方向)や、配向角度、ペプチド間角度、Glu-Glu間の距離や動径分布関数(RDF)を解析した。 構造解析の結果、ペプチドの膜内構造では、Q2-C2, Q3-Cの系でGluが中心付近に分布する様子が示された。また、Q2-C2, Q3-Cの系では膜内において二量体構造を保つ様子が示された。脂質スクランブリングの実験結果との対応から、これらはペプチド付近での脂質スクランブリングに寄与する特異的構造であるとことが示唆された。
|