研究課題/領域番号 |
19K05381
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 亨 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70716076)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 溶媒和モデル / 機械学習 / 酸解離定数 / 酸化還元電位 / 密度汎関数理論 / 金属錯体 / 分配係数 / logP / 量子化学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
量子化学計算において、溶媒和モデルを用いて様々な化合物の物理量を算出できるようになったが、まだ十分な精度が得られない場合が多い。これまではモデル化・定式化することで改善策を得てきているが、人為的な補正項や線形近似にとどまっているケースが多く十分なエビデンスがない。そこで、本研究では新しい試みとして「機械学習」を取り入れて、分子から与えられた情報から溶媒和モデルで得られる溶媒和自由エネルギーで生じる誤差を評価する関数を作成して、精度を向上させる補正の手段・スキームを考察する。
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研究成果の概要 |
本研究で、我々は量子化学計算と溶媒和モデルとの組み合わせ用いて、次の3点を改善した。(1) 機械学習を使用して溶媒和エネルギーの補正を行い、より正確な分配係数(logP)の算出を試みた。(2) 酸化電位を解析し、Lasso回帰を使用して誤差の重要な因子を特定した。114種の有機化合物の実験値と計算値を比較し、機械学習による解析を行った。(3) 酸解離定数の計算においては、従来は官能基が同じ化合物で計算し線形近似を行っていたが、その理由や化合物の選択に不自然な点があったため、多重回帰を用いて酸解離定数の導出を提案し、より正確な結果を得ることを試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を通して、量子化学と情報科学・データサイエンスとが融合する形態が第3ステージの量子化学になると考えて「量子化学3.0の時代」という造語を提唱するに至る段階になったと考えている。 「機械学習」や「人工知能」「自動化」など情報科学分野の進展は目覚ましい。それに付随して、機械学習・深層学習が多くの分野で普及が進んでいる昨今ではデータベース化がより進行している。したがって、今後の量子化学ではコンピュータによる自動的なデータ収集などが主流になると予測できるが、アウトプットとゴール(大抵の場合は実験値)との「差」をどう解釈するかは今後も課題であり続けるだろう。
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