研究課題/領域番号 |
19K05385
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 武志 京都大学, 理学研究科, 助教 (30397583)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 自己組織化 / 分子動力学 / 超分子 / シミュレーション / 構造予測 / 物理化学 |
研究開始時の研究の概要 |
自己組織化によって形成された超分子系は、構成要素(モノマ ー)が環境条件に応じて離散・集合を行う事が出来るため、生体系に似た興味深い性質を持つ。このため、新規な超分子材料として実験的に活発に研究されているが、分子レベルの構造やダイナミクスの情報を得るのが困難な場合が多く、シミュレーションによる相補的な研究が期待されている。一方、全原子モデルを用いたボトムアップ型の自己組織化シミュレーションはアクセスできる空間・時間スケールに大きな制約がある。このギャップを克服し、より幅広い系の超分子構造と組み立て過程の予測を行えるようにするための方法開発と応用を行う。
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研究実績の概要 |
分子集合系と超分子構造のより高効率な統計サンプリング法の研究を行った。タンパク質などの生体分子では、配座の統計サンプリングの手法が幅広く研究されている。しかしこれらの手法はタンパク質特有の性質を利用している場合が多く(バックボーン構造を集団自由度として用いるなど)、 モノマーが離散・集合出来る系ではサンプリンク効率を上げるための工夫を別途行う必要がある。また、モノマー同士の原子レベルでの相互作用パターンが最終構造を決めるため、水素結合などの効果を十分考慮する必要がある。この目的のため、これまでの研究では全原子モデルに基づくREST法(レプリカ交換法の一種)を用いていたが、系全体をそのまま取り扱う場合、系に含まれる自己組織化分子の数やサイズとともにレプリカ数が増大するため、調べられる系が限定される問題があった。これに対処するため、分割統治に基づいてモノマーが超分子を形成していく過程を段階的にシミュ レートする方法を考え、典型的な超分子ポリマーに適用し、REST法とほぼ同じ超分子構造がより低い計算コストで得られることを示した。自己組織化系に対するレプリカ交換法の応用では、レプリカの最大温度をモノマーの解離限界付近まで上げることが重要になるが、高温側で系の相転移的な挙動により計算効率が大きく下がる問題があったため、これに対処するための研究を行った。さらに、レプリカ法とは相補的な方法として、構造形成に関わる重要な集団座標をサンプリングデータから抽出し、それを通じてサンプリングを加速する方法の研究や、系のエネルギー関数を一時的によりなめらかにすることで分子運動の摩擦を減らし、系の構造変化を加速させるための研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた研究内容のうち、分割統治に基づく方法の研究およびゲスト分子による分子カプセルの形状変化の研究は予定どおり進めることが出来た(論文準備中)。一方、温度を制御パラメタに用いるレプリカ法をより大きな系に適用した場合、モノマーの相転移的な挙動によるサンプリングの効率低下など様々な問題が現れるため、それらを改善するための研究を行っている。また、レプリカ法とは別のアプローチとして、構造形成に関わる集団座標をサンプリングデータに基づいて自動決定するための方法やエネルギー関数の平滑化を通じた分子運動の加速の方法などについて、プログラム開発とテスト計算を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
分割統治の方法を用いた研究および分子カプセルの自己組織化過程への応用について得られた結果を論文にまとめる。これらの方法を拡張し、実験的に興味を持たれているより扱いの難しい系(水溶性の超分子ファイバーや複数種の構成分子が自己組織化に関与する系)の構造予測に適用してみる。また、系のサイズとともに計算コストの問題が増大するため、コストを下げるための新しいサンプリング法の研究を進める。分子動力学計算によるデータ生成と集団座標の抽出に基づくサンプリングの加速の方法やエネルギーの一時的な平滑化の方法をより実践的な系に適用し、構造予測の能力について調べる。また、従来のレプリカ法と比較することで得られた構造や計算効率の比較を行う。
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