研究課題/領域番号 |
19K05395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
関 和彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (60344115)
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研究分担者 |
加藤 隆二 日本大学, 工学部, 教授 (60204509)
矢後 友暁 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (30451735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 励起子 / 一重項 / 三重項 / 拡散 / 磁場効果 / 有機固体 / 異方性 / 遅延蛍光 / 三重項融合 / シングレットフィッション / エキシトン / 有機材料 / シングレット / トリプレット |
研究開始時の研究の概要 |
シングレットフィッション(SF)は主に有機固体で起こり、光励起した一重項励起状態が2つの三重項に分離する光化学過程である. この逆過程が三重項融合(TF)である. 近年、時間分解蛍光測定の高感度化により、強度の低いパルス励起光を用いた遅延蛍光の長時間計測が可能となった. これまでに我々は、弱い強度のパルス励起光で得られた遅延蛍光は有機固体の種類に依存しない普遍的な時間減衰を示し、その機構として励起子拡散が本質である事を指摘した. 三重項励起子の拡散の異方性を考慮した理論と、SFを示す有機結晶を用いた蛍光時間分解の高感度測定及び磁場測定との共同研究により励起子拡散の効果をより詳細に検討する.
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研究成果の概要 |
シングレットフィッション (SF) は、光励起で生成した一重項励起子が2つの三重項励起子に分離する光化学過程であり、三重項融合 (TF) はこの逆過程がである. SFは、1つの一重項励起子を2つの三重項励起子に分離することから、三重項励起子を構成している電荷対を分離することにより光電変換効率を上げることが期待されている. 一重項励起子は三重項励起子よりも寿命が短く発光しながら減衰する. 本研究では、TFが拡散を介して起こる場合、TFから再生成した一重項励起子が前述の寿命よりも遅く減衰する蛍光を示す現象に着目した.この遅延蛍光の起こる機構の解明を目的としている.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
パルス励起光により生じた三重項融合による遅延蛍光は拡散を介して起こるため、拡散という普遍的な現象に由来する、特徴的な減衰を示す事が分かった. さらに、拡散という普遍的な現象に対する結晶構造に由来する三重項励起子の拡散異方性の影響について理論と実験の両面から研究を行った. テトラセンについては遅延蛍光の冪乗則に従う減衰の測定から拡散を介して起こっていると結論することができることを確立することができた.これに対して、結晶異方性の強いルブレンについては、拡散の次元依存性について他のグループの間で解釈が分かれている.ルブレンに対する遅延蛍光の減衰について、理論的に合理的な結果を示す事ができた.
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