研究課題/領域番号 |
19K05496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉成 信人 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10583338)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 金属錯体 / イオン伝導体 / 硫化銅クラスター / 脱金属化反応 / 金属有機カルボン酸 / 含硫アミノ酸 / キラリティ / スクランブリング反応 / 混合原子価 / 銅イオン / 磁気的相互作用 / 水蒸気吸着 / アンモニア吸着 / 金属クラスター集積体 / 希土類イオン / キュバンクラスター / 単結晶変換 / 動的コンビナトリアル化学 / 金属クラスター / 結晶構造 / 配位異性体 / ペニシラミン / システイン / 混合原子価錯体 / 硫化銀クラスター / 超分子化学 |
研究開始時の研究の概要 |
自然界には、様々なイオンを素早く透過できるイオンチャネル蛋白質が存在する。本研究では、天然蛋白質のイオン輸送機構を、人工材料に転写する基盤技術を開発する。具体的には、表面を修飾した金属クラスターを合成・集積化し、イオンが通過する経路の周辺に多数のアミノ酸を高密度に配した人工イオンチャネル構造を構築する。これにより、多価イオンをもスムーズに輸送できる新たな固体材料の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究計画では、金属多核錯体や金属クラスターが集合化した固体である、金属クラスター集積体を基盤とし、金属イオンが運動種となる固体イオン伝導体の開発を目指している。 研究開始以来、NメチルL-システイン、D-ペニシラミン、L-システインを配位子として用いることにより、非配位カルボキシレート基をもつ多核金属錯体群(Metal-organic carboxylates;MOCs)の開発に成功している。その中には、動的コンビナトリアル混合物を与えるMOCsや混合原子価状態をもつMOCs、ヒドリド含有により高負電荷をもたせたMOCsが含まれる。金属イオン種としては、Mn2+,Ni2+,Co2+などの遷移金属2価イオンのほか、希土類3価イオンを用いて、固体中の拡散現象を調査した。 本年度は、2年度に見つかった集積固体内部での希土類イオンのキュバンクラスター形成反応についてさらに調査を進めた。具体的には、MOCsを構成する金属イオンを交換することにより結晶格子のサイズを拡張でき、キュバンクラスターを構成できる希土類イオンの範囲を、Gd-LuからEu-Luへと拡張できた。これにより、発光性で知られるEu3+イオンのキュバンクラスターの簡便合成を達成した。 また、新しいMOCs候補物質を探索する一環として、金属錯体と硫化物イオンとの反応性の調査も進めた。その結果、銅イオンを含む硫黄架橋多核錯体に硫化物イオンを反応させる場合に、2量化反応と金属イオン引き抜き反応という2種類の反応が可能であり、錯体配位子のキレート員環数によってこれを制御可能であるという知見を得た。 本研究の全期間を通じて、外部電場による多価イオンの高速運動は直接観測できなかったものの、金属錯体集積体の内部に多価イオンが自由拡散できる間接的な証拠が得られた。これは、水和多価イオン伝導体の開発へ向けた重要な知見となる。
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