研究課題/領域番号 |
19K05504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 東北大学 (2021-2022) 九州大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
田原 淳士 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (50713145)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | イリジウム / BNNB型配位子 / σ-結合メタセシス / 単純炭化水素 / C-H結合活性化 / 有機金属化学 / 錯体化学 / 金属-配位子協同作用 / σ-CAM / 分子活性化 / ホウ素 |
研究開始時の研究の概要 |
配向基を持たない単純アルカンやアレーンのC-H結合活性化および触媒的官能基化は次世代の触媒反応として精力的に研究されているが、達成のための明確な触媒設計指針は限られる。その一方で、一部のIr/Rh触媒系を用いて、温和な条件でのアルカン・アレーンの脱水素ホウ素化が報告されている。これは系内で発生する金属-ホウ素結合の働きによって活性化障壁が軽減されるためと考えられている。本研究ではこの知見に基づき、活性種の構造を指向した配位子設計を着想し、基質としてではなく配位子としてホウ素骨格が導入された多座配位子を有する新規錯体を合成し、単純アルカンやアレーンの活性化および分子変換反応の達成を目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では化学的に安定な単純炭化水素の炭素-水素結合を活性化する手法として、既報の触媒活性種の構造から着想を得た多座配位子を新たに設計し、その配位子合成、錯体合成、および触媒活性について検討を実施した。支持配位子であるビピリジン骨格と、金属中心と結合形成後に活性点となるホウ素骨格をメチレン鎖で連結させたBNNB型配位子およびその前駆体を用いて、イリジウム金属によるベンゼン分子の活性化を達成した。またホウ素源としてフェニルボロン酸を用いることで、カップリング体であるビフェニルの検出にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
錯体化学の分野において、単純炭化水素の変換を実現する酵素反応の人工的な再現を志す生体模倣は一般的なアプローチの一つであるが、真の活性種構造を再現することは困難であり、いわば静的な錯体構造の模倣が主流であった。本研究は計算科学の併用により、反応系内において瞬間的に生じた触媒活性種構造を配位子設計に導入している点で全く新しいアプローチとなっており、いわば動的な錯体構造の模倣を主眼に置いた点で学術的価値を有する。その不安定さから錯体そのものを単離することは叶わなかったが、フェニルボロン酸からのビフェニル合成を達成し、最終目標である単純炭化水素の直接カップリングへと通じる意義のある知見を得た。
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