研究課題/領域番号 |
19K05512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34010:無機・錯体化学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
川本 達也 神奈川大学, 理学部, 教授 (20204787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 銅多核錯体 / 水素製造 / 水素生成触媒 / 混合配位子錯体 / 銅錯体 / クラスター / 水素生成 |
研究開始時の研究の概要 |
配位子上の置換基および合成条件に依存して、三核、四核、六核、八核、十六核の銅-硫黄クラスターが得られることを明らかにしてきた。そのうち三核、四核、十六核クラスターの銅原子は+1の酸化状態にあることがわかっている。それに対して六核と八核クラスターは、酸化還元活性な性質を示し、銅の酸化状態を特定することができない多電子移動型多核錯体である。本研究では、これら銅-硫黄クラスターの選択的合成条件を確立し、各クラスターの構造と性質、それらと合成条件の関係を明らかにする。そして、それらを触媒とする水の光分解のための反応システムを構築することにより、人工光合成研究の発展に資することを本研究の目的とする。
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研究成果の概要 |
環状構造を有する銅-硫黄クラスターの核数や酸化状態は、配位子の置換基および反応条件によって、制御できることを明らかにした。三核の銅-硫黄クラスターは側鎖ベンゼン環の2つのオルト位に置換基をもつ配位子を用いることで選択的に合成でき、また、八核の銅-硫黄クラスターはパラ位に置換基をもつ配位子を用いることで合成できることがわかった。一方、六核の銅-硫黄クラスターは2つのメタ位にメチル基を導入した場合に合成でき、塩素原子の場合には八核クラスターを生成した。これらの銅-硫黄クラスターを触媒とする可視光による水からの水素製造反応を行ったところ、三核と六核クラスターが高い触媒作用を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
1対1の金属-配位子比からなる銅-硫黄クラスター(硫黄架橋銅多核錯体)はユニークな環状構造を有する。今回、その核数(環の大きさ)を配位子中の置換基によってコントロールできることを明らかにした。このことは、クラスター設計においてひとつの指針を与えるものであり、そこに学術的意義があると考える。また、今回合成した銅-硫黄クラスターは、可視光を利用した水からの水素製造において高い触媒作用を示した。このことは、触媒として安価な銅が有効であることを証明したものであり、地球温暖化とエネルギー問題の解決に資する水素エネルギー社会の早期実現に向けて社会的意義は高いと考える。
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