研究課題/領域番号 |
19K05530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
高山 光男 横浜市立大学, 理学部, 教授 (10328635)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 水素ラジカル / ジスルフィド結合 / タンパク質化学 / タンパク質 / 酸加水分解 / 質量分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、複数のジスルフィド(S-S)結合を有するタンパク質のアミノ酸配列およびS-S結合部位を決定できる手法を確立する。S-S結合はタンパク質の機能と直接関連する高次構造を安定化させ酵素消化にも耐性を与えるため、S-S結合含有のペプチドやタンパク質製剤にも利用される重要な製薬技術の一つである。しかし、その安定性のためにアミノ酸配列解析など分析が困難であった。本研究は、これまで申請者が基礎研究を行ってきた水素ラジカルの特異的分解反応の機構と特性を基盤とし、S-S結合含有タンパク質の迅速分析を可能にする技術を提出する。
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研究成果の概要 |
複数のジスルフィドS-S結合を有する同族タンパク質、卵白リゾチームHELと牛αラクトアルブミンaLAの分解特性を、水素ラジカルを攻撃試薬としたアミノ酸配列解析および構造特異性の観点から比較検討した。水素ラジカルとDTTの組合せは主鎖N-C結合とS-S結合の同時分解を可能にし80残基まで迅速な配列決定を達成した。さらにTFAの添加はaLAを残基特異的(Asp, Ser/Thr, Gln, Gly)に加水分解したのに対し、HELは分解せず強い酸耐性を示した。HELとαLAの酸に対する耐性の違いは、HELが塩基性であるのに対しαLAは酸性であることに帰することができその反応機構を提出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
タンパク質は生体を形作る最も重要な物質であり、その性質や反応特性を知ることは健康維持の科学的知識として必須である。本研究課題である、複数のジスルフィド結合を持つタンパク質の分析手法の開発では、先端の質量分析技術を用い、当該タンパク質のアミノ酸配列と分解特性を迅速に行うことに成功した。すなわち、数分のうちに当該タンパク質の80残基以上のアミノ酸配列を決定できた。また4本のジスルフィド結合を有する牛乳由来のアルファラクトアルブミンは酢酸など酸性試薬に対し分解耐性が低く容易に分解したが、卵白由来のリゾチームは強い耐性を示し種々環境下でもその抗菌活性を維持し得る性質を持ちうることが判明した。
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