研究課題/領域番号 |
19K05572
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
南齋 勉 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (20563349)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アクティブマター / ソノケミストリー / 非線形 / マランゴニ効果 / 非平衡 / ソノルミネッセンス / ソフトマター / イオン液体 / 環境浄化 / 非平衡界面 / 非線形現象 |
研究開始時の研究の概要 |
外力を必要とせずに,水中の環境汚染物質を自発的に回収しながら走行する油滴を設計する。この油滴は,水中の溶質を内部に取り込む際に走るエネルギーが生み出されることから,『汚れセンサーを搭載したロボット掃除機』のように,水中に存在する汚染物質を自発的に回収する環境浄化システムに応用できると考える。本研究では,従来の系とは逆に,水よりも比重の小さい油滴がガラス管内の上面を走行する系を用いて,油滴の運動性に影響を及ぼす溶媒物性を特定する。その上で,実用化を念頭に置いて,環境負荷の小さい油滴溶媒の最適化を目指す。また,濃縮回収した汚染物質を,超音波が誘起する微小気泡反応場によって効率的に無害化する。
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研究成果の概要 |
自走油滴システムに用いる溶媒の最適化に向けて,極性の高さが重要であることが明らかとなった。今後,極性の高さと水への難溶性を備えた「イオン液体」を液滴溶媒とした系を検討する。また,回収物質の無害化の検討として,有機溶媒中に生成する高温高圧の超音波反応場の評価を行なった。対象溶媒である30種の有機化合物に超音波を照射し,分解生成物であるガス状炭化水素の生成量から見積もったキャビティ温度に加え,キャビティ圧壊時に放出されるソノルミネッセンス(SL)の強度を測定した。キャビティ平均温度は、溶媒の蒸気圧が小さいほど高温になることが見積もられ,SL強度との間に正の相関関係が見られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の自走油滴システムは,生体の自律運動の無生物系モデルとして注目されてきたが,新しい組成の液滴系を検討した報告は殆どなく,今回のような環境汚染物質の回収という実用化に向けた研究は高い新規性を有する。水中に低濃度で存在することから,回収や分解が困難な界面活性剤を,基板上に静電吸着させることで濃縮させ,これを液滴が自発走行しながら回収していくことで,さらに効率的に濃縮できる。液滴は水相溶質が存在する方向に走行し,水相溶質濃度が低下するまで走行し続ける。これは,まるで汚れセンサーを備えた自動掃除ロボットのようであり,溶質濃度の非平衡を利用するため,外力を全く必要としない省エネシステムである。
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