研究課題/領域番号 |
19K05597
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大越 豊 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (40185236)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | Fiber Property / Structure Development / ポリエチレンテレフタレート / X-ray diffraction / SPring-8 / Fiber Strength / PET / X-ray Diffraction |
研究開始時の研究の概要 |
繊維の諸物性、特に強度や弾性率などは繊維構造の影響を強く受け、繊維の製造条件によって顕著に変化するが、従来の解析手法では定性的にしか説明できなかった。本研究では繊維の構造が形成されていく過程に注目し、合成繊維の性質をより的確に設計する手法を確立する。この目的のため、本研究ではSPring-8の超高輝度X線を使用し、繊維をレーザー光で瞬間的に加熱して引き伸ばし、その後の構造変化を1/10000秒単位で観測することで観察されるフィブリル状構造に注目した。ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維の製造条件がこのフィブリル状構造の変化におよぼす影響を調べることで、繊維物性の定量的設計に繋げたい。
|
研究成果の概要 |
強度など繊維の諸物性は配向結晶化によって形成されるフィブリル状構造の影響を強く受ける。本研究では、繊維を瞬間的に伸長した後のフィブリル状構造形成過程を、SPring-8の超高輝度X線を使い、時間分解能100マイクロ秒でその場測定した。この結果、ポリエチレンテレフタレートでは、分子量が小さいとフィブリル構造の母体となるsmectic構造が形成されるのと同時にラメラ状結晶が成長するのに対し、分子量が大きいとsmectic構造の形成が支配的になることがわかった。また得られたみかけ弾性率より、繊維の強度はミクロフィブリル間を結びつけている約5%の分子鎖の状態で決まることがわかった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強度など繊維の諸物性は配向結晶化によって形成されるフィブリル状構造の影響を強く受ける。本研究では、繊維を瞬間的に伸長した後のフィブリル状構造の形成過程を、SPring-8の超高輝度X線を使い、時間分解能100マイクロ秒でその場測定した。この結果、ポリエチレンテレフタレートでは、分子量が小さいとフィブリル構造の母体となるsmectic相が形成されるのと同時にラメラ状結晶が成長するのに対し、分子量が大きいとsmectic相の形成が支配的になるなど、原料や製造条件と繊維物性との定量的な関係を明らかにできた。この成果は繊維の物性設計のみならず、新たな機能発現へのBreak Throughになり得る。
|