研究課題/領域番号 |
19K05601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
浦川 理 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70273539)
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研究分担者 |
井上 正志 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80201937)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | シンジオタクチックポリスチレン / δ相 / ε相 / 包接 / ゲスト分子 / 誘電緩和 / ダイナミクス / 回転緩和 / 活性化エネルギー / ブロードバンド誘電緩和測定 / 緩和時間 / Arrhenius式 / 包接分子 / 拘束効果 / 分子運動 / ナノ空間 / リラクサー |
研究開始時の研究の概要 |
シンジオタクチックポリスチレンが低分子ゲストを包接して形成するδ相およびε相と呼ばれる共結晶体配向試料について,広帯域誘電緩和法によりゲスト分子のダイナミクスを評価する.δ相では個々のゲスト分子が孤立した空間に閉じ込められるが,ε相ではchannel状の空間にゲスト分子が並んで配列することが明らかとなっており,各相におけるゲストダイナミクスの違いを明らかにすることで,分子運動の異方性および協調運動性に関する情報を得る.さらに,ゲスト緩和時間の分子サイズおよび形状依存性についても系統的な調査をする.以上の実験的検討により,誘電メモリーなどの機能材料に必要な条件を探る.
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研究成果の概要 |
シンジオタクチックポリスチレン(sPS)がゲスト低分子を包接して形成するδ相およびε相と呼ばれる共結晶体について,様々なゲスト分子のダイナミクスを誘電緩和測定により詳細に検討した.そして,分子運動を支配する主要因が,ゲスト分子長であることを見出した. δ相とε相の比較では,前者の方がゲスト分子の緩和時間が長く活性化エネルギーも高いことがわかった.また,sPSフィルムを延伸配向した場合,δ相は誘電緩和強度が増加し,ε相では減少した.このことから分子運動に異方性があり,ゲスト双極子の回転軸がδ相ではsPS分子鎖軸に平行で,εでは垂直である(平行な向きに分子がスイッチングする)ことがわかった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
sPSに包接された極性ゲスト分子のダイナミクスが,分子サイズ(長軸の長さ)によって概ね決定されること明らかにした.これは,拘束された分子の運動を一般化したという意味で学術的に意義がある.また,すべてのゲスト分子で緩和時間の温度依存性がアレニウス形となったことは,孤立分子がガラス化しないことを示しており,ガラス転移という現象の本質が垣間見えた点でも意義がある.更に,sPSという汎用高分子を,誘電メモリーやエレクトレットデバイス等の機能性材料とするために,ゲスト分子サイズが主な制御因子となることを見出した点は,社会実装のために重要な成果である.
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