研究課題/領域番号 |
19K05646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
林 宜仁 金沢大学, 物質化学系, 教授 (10231531)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ポリオキソメタレート / 酸化物クラスター / バナジウム / ポリオキソバナデート / キラル |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンナノチューブに相当する新しいチューブ状構造をバナジウムと酸素原子から成るポリオキソバナデートを用いて構築する。酸化バナジウム(V), V2O5は、グラファイトと同様のシート状構造を有する。そこで、カーボンナノチューブが形成されるのと同様の発想で、酸化バナジウムシートを丸めた構造に相当する、チューブ状骨格を形成し、バナジウム酸化物ナノチューブを開発することに挑戦する。チューブ構造を分子として単離し、純物質としてのバナジウム酸化物ナノチューブ分子を実現することに本研究の特徴がある。チューブの巻き方によっては、カーボンナノチューブと同様にキラルなチューブを実現可能である。
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研究成果の概要 |
酸化バナジウム(V)はシート状構造であるので、その部分骨格を切り出す事ができればナノチューブやフラーレンのような中空分子の合成が可能である。バナジウム酸化物クラスター内にフッ素イオンテンプレートを用いてチューブ状分子の形成を試みた。細長い分子であるアセトニトリルやスルホン基を持つテンプレートなどがチューブの延長に有効であることを見出し、V18, V30などのチューブ状分子の合成方法を確立した。オレフィンとの酸化反応後に生成すると想定されるポリオキソバナデートのアルコキソ化学種を単離し、想定される反応機構の中間体すべてを、まるで有機金属化学でよく行われてきた活性種の単離のように達成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
グラファイトの層状構造からフラーレンやナノチューブが形成されるのと同様に、酸化バナジウムの層状構造から発展して、チューブ状のバナジウム酸化物クラスターを合成できることを発見した。カーボンナノチューブを化学合成することは、強力な炭素炭素結合の切断と再構築が必要なため難易度が非常に高いが、イオン結合性化合物であるバナジウム酸化物クラスターでのナノチューブの化学合成は、合成条件が繊細であるが比較的容易に実現できる利点がある。新たなチューブ状酸化物分子を純物質としての合成可能性を見出したことは学術的に独創的であり、今後純物質としてのチューブ分子の化学が発展する上での基礎を築いた。
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