研究課題/領域番号 |
19K05655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
林 直顕 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 客員研究員 (70346047)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ペロブスカイト / メスバウア効果 / 酸素ノンストイキオメトリー / 鉄酸化物 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移金属酸化物には合成時の周囲の酸素(分)圧に依存して、含まれる金属イオンの価数が変動する物質が多く知られる。単に金属イオンの性質が変化するだけではなく、同時に導入される酸素欠損がその物性に影響を与える。Fe4+を含むペロブスカイト酸化物はその代表的な系である。本研究では酸素欠損に着目した。高温で安定的かつ精密に制御した酸素分圧雰囲気中や強力酸化力をもつオゾン気流中での鉄イオンの状態を調べることができるメスバウア分光の計測技術を開発する。また、その結果を整理し、様々な組成の新規金属酸化物の合成を試みる。
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研究実績の概要 |
高温下での遷移金属酸化物の物性は、周囲の酸素(分)圧に大きく影響を受ける。それは固体中の酸素(欠損)量が周囲の酸素分子との平衡により変化し、遷移金属イオンの価数や配位状態が変化するためである。本研究課題では高温精密制御雰囲気中でのメスバウア効果測定装置の開発に取り組んでいる。2023年度には試料加熱炉の改良を行った。これまではイットリア安定化ジルコニア(YSZ)管を用いた酸素センサーを試料加熱炉の排出ガスラインから下流側に接続していたが、試料近傍に設置し、試料の酸素分圧を直ちに測定できるようにした。このことにより、外部の空気の混入を低減するとともに、センサーの応答も速めることができるようになった。また、試料加熱炉の発熱部からの輻射熱を低減するために送風路を改良した。測定窓部分の空冷能力を高めたことで、試料も950℃程度まで安定的に維持できるようになった。 一方、酸素欠損ペロブスカイトであるブラウンミレライト型Sr2Fe2O5(SrFeO2.5)について、含有酸素組成を保つことのできる低酸素圧雰囲気中で高温メスバウア分光測定を行った。測定効率を上げるために57Feを約15%富加したSrFeO2.5試料を作製した。室温付近では結晶中のFeO4四面体サイトとFeO6八面体サイトに由来する2種類のFe3+スペクトルが現れるが、900℃以上では鋭いsingletピークへ変化した。酸素イオン拡散の速い立方晶相への相転移が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
メスバウア分光測定場所の整備の遅れと、それに伴い装置開発に遅れを生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
酸素分圧制御装置と熱重量測定装置、高温X線回折装置と組み合わせて、格子酸素量の変化や構造とメスバウアスペクトルとの相関を調べる。
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