研究課題/領域番号 |
19K05713
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 (2022) 大阪大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
花島 慎弥 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50373353)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 糖脂質 / 脂質ラフト / NMR / 相互作用 / 有機合成 / 重水素 / コレステロール / 固体NMR / 蛍光寿命測定 / FRET / ガングリオシド / 合成 |
研究開始時の研究の概要 |
シアル酸を有する糖脂質であるガングリオシドは、脂質ラフトが存在できる膜条件下でのみEGF受容体の細胞増殖シグナルを抑制する。本申請はこの生命現象の背景にある分子機序の解明に、糖脂質-EGF受容体の動的会合体を核とする脂質ラフトの研究を通して挑戦する。以下の3つの点に関して、固体NMRと蛍光FRET寿命測定を用いて精密に解析する。 (a)脂質膜上でおこるガングリオシド頭部の構造変化を固体NMRを用いて解析する。(b) 糖脂質-EGF受容体膜ドメイン間で起こる相互作用をFRET蛍光寿命測定にて明らかにする。(c)固体NMRの原子間距離情報から糖脂質-EGF受容体膜ドメイン会合体の構造を解明する。
|
研究成果の概要 |
蛍光標識を施したEGF受容体膜貫通ドメインを合成し、蛍光共鳴エネルギー移動を用いて脂質膜の環境におけるGM3と膜貫通ドメインの側方的な相互作用を調べた。その結果、GM3がEGF受容体膜貫通ドメインと相互作用して単量体を安定化していることを明らかにした。同位体標識を施したGM3プローブを用いた固体NMR実験の結果、コレステロールの有無などの膜脂質成分の違いによりGM3頭部基の脂質膜上での配向に小さな変化が誘起されることが示された。膜環境がGM3頭部の構造制御を部分的に担い、膜タンパク質との相互作用に影響を与えることで膜タンパク質の会合状態や活性に影響を及ぼすこと可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
側方的な脂質とタンパク質相互作用の解析法を確立し、これまで複雑な膜組成を有する細胞を用いた実験でしか示されてこなかった、脂質膜外葉のGM3とEGF受容体膜ドメインの直接的な相互作用をモデル系で初めて検出した。この相互作用はGM3選択的に起こっており、糖脂質選択性はタンパク質の配列依存的である可能性がある。このような膜タンパク質の活性を制御する脂質の側方的な相互作用を制御できる化合物は、EGF受容体が関連する疾患の新しい創薬リード化合物となる可能性もある。
|