研究課題/領域番号 |
19K05724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
兼目 裕充 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10399438)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | サルーシン / 藻類共生細菌 / テルペノイド / 生合成 / 変異株 / 抗生物質 / ヒトエグサ / 分化誘導 / 海産藻類 / 葉状体分化 / Thallusin / 生合成酵素遺伝子 / 異種発現系 |
研究開始時の研究の概要 |
海産藻類を人工海水で生育させると藻体には成長せず、単細胞性の増殖しか示さないことが知られている。近年、これらの海産藻類の葉状体分化を極微量で誘導するサルーシンが、藻類共生細菌より見出された。一方、この共生細菌においては、なぜ、どのようにサルーシンを生合成しているのかについては全く解っていない。本申請研究では、生産細菌が持つ全てのサルーシン生合成酵素遺伝子類を明らかにすると共に、これらの遺伝子の発現制御機構を解明したい。また、生産細菌自体のサルーシン生産能は非常に低いことから、異種発現系において生合成経路を再構築することによって、サルーシンの効率的な大量生産システムの確立へと発展させたい。
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研究実績の概要 |
海産藻類の葉状体分化を極微量で誘導するメロセスキテルペノイドのサルーシンが、分化誘導の必須成分として藻類共生細菌より見出されているが、この共生細菌においては、なぜ、どのようにサルーシンを生合成しているのかについては全く解っていない。そこで、本研究では、生産細菌が持つ全てのサルーシン生合成酵素遺伝子類を明らかにすると共に、これらの遺伝子の発現制御機構を解明したい。また、生産細菌自体のサルーシン生産能は非常に低いことから、生合成経路を再構築することによって、サルーシンの効率的な大量生産システムの確立へと発展させたい。 前年度までには、抗生物質耐性変異株からスクリーニングで得たサルーシン高生産性変異株について、複数の高生産性変異株を対象として、次世代シーケンサーによるSNP・indel解析を行った。その結果、高生産性変異株の変異部位は、他の細菌類において二次代謝産物の高生産性を示す抗生物質耐性株の変異部位と共通する2種類の遺伝子の変異に集約されることを明らかにできた。一方、確立できた簡便かつ堅牢な定量分析前処理方法を用いて、大量抽出時に吸着能の飽和に起因する必要樹脂量の増大を改善するため、新たな吸着樹脂の評価検討を行いたかったが、コロナウイルス蔓延に伴い、主要培地成分の供給が滞り、少量培養での検討を余儀なくされつつも、抽出方法については改善することができた。本年度は供給が戻りつつあることから、大量培養によるサルーシンの供給検討を進めると共に、次世代シーケンサーによるゲノム解析結果から推定されたサルーシン生合成経路について、酵素反応から類推される阻害剤候補の阻害効果について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大量抽出時に吸着能の飽和に起因する必要樹脂量の増大を改善するため、新たな吸着樹脂の評価検討を行った。吸着樹脂の溶媒による膨潤率が非常に大きく扱いづらいものの、従来の回収率を大幅に上回る吸着樹脂を見出すことができた。また、大量抽出時の培養液の処理方法および吸着樹脂カラムの使用方法についても改善をはかることができた。一方、酵素反応から類推される阻害剤候補の阻害効果については、着手できたもの、一種類の阻害剤について阻害効果が明らかにできたが、コロナウイルス蔓延に伴い、予定していた他の酵素阻害剤の効果を明らかにするまでには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定していた他の酵素阻害剤の効果を明らかにするとともに、本年度で明らかにできた阻害剤を用いた重水素標識生合成中間体の取り込み実験によって、遺伝子ノックアウト株の作出による機能解析を推進する。また、サルーシン生合成候補酵素遺伝子について、大腸菌や酵母等の異種細胞を用いた機能解析を検討する。
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