研究課題/領域番号 |
19K05736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37030:ケミカルバイオロジー関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
幸野 貴之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10374563)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マクロ飲作用 / マクロピノサイトーシス / 重層化増殖 / 癌細胞 / 上皮細胞 / タイト結合 / 細胞重層化 / 癌悪性化 / 子宮内膜癌 |
研究開始時の研究の概要 |
単層で生育する培養上皮癌細胞に対して,上皮バリアの主要構成因子をその特異的リガンドで刺激すると,癌細胞が重層化することを見出した。この現象の過程で,「マクロ飲作用」という興味深い生理現象を伴うことも発見した。本研究では,これらの発生機序の解明に取り組み,マクロ飲作用に着目した,新たな癌細胞の悪性化増殖の抑制機序創出を目指す。
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研究成果の概要 |
上皮細胞が癌化を目指して増殖や運動を再開するためには,接触阻害からの離脱が必要であるが,静穏化している細胞が突然増殖を始める機序の理解は乏しい。我々は,接触阻害を打破するシグナルの開始点として細胞間接着に着目した。そして,外来刺激によるタイト結合の制御が,急激な細胞運動能の亢進とその後に起こる過剰な重層化増殖を起動させることを見出した。さらに,この過程でマクロ飲作用が先行することを発見した。本研究では,タイト結合関連シグナルに由来するマクロ飲作用の発動が,癌細胞の悪性化増殖開始トリガーであることを明らかにした。本研究の成果は,新たな癌悪性化制御機序の創出につながるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上皮細胞間の隙間の閉塞を制御するタイト結合タンパク質LSRについて,そのリガンドを用いることで,人為的にLSRの細胞内局在と発現量を制御できる実験系を確立した。これを用いて,癌細胞が高分化型から低分化型へと至る過程における,タイト結合の機能変化と細胞重層化へと至る分子機序の解析を行った。その結果,LSRの局在変動をトリガーとして,細胞が重層化増殖に至る起始過程にマクロ飲作用が関連することを明らかにした。さらに,マクロ飲作用の抑制が,細胞の悪性化増殖を阻害することを見出した。本成果は,生理的なマクロ飲作用の機序解明に役立つだけでなく,癌悪性化に対する新たな治療戦略の創出に貢献するものである。
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