研究課題
基盤研究(C)
正常細胞は,呼吸によって得た酸素と食事によって得た糖を使ってエネルギーを産生する.一方,多くのがん細胞は,酸素が十分に供給されている状態でも酸素を使わずにエネルギーを産生するという特性をもつ.本研究では,がん細胞におけるこの特性の維持に重要な役割をもつ酵素Glyoxalase Iをターゲットとし,コンピュータを用いて,この酵素に特異的に結合してその活性を阻害する化合物を設計することによって,これまでにない作用機序をもつ新たな制がん剤の創製を目指す.
本研究の目的は,がん細胞特異的に高発現される代謝酵素Glyoxalase I (GLO I)をターゲットして,その阻害剤を制がん剤リード化合物として創製することである.我々は,当研究室で見出した新規GLO I阻害化合物TLSC702とヒトGLO Iとの複合体のX線結晶構造解析を行い,TLSC702の結合様式の解明に成功した.さらに,新たに数種のGLO I阻害天然有機化合物を発見した.本研究は,GLO I阻害剤の新規設計の重要な足掛かりとなるものであり,新規制がん剤開発のためのリード化合物創製において大変意義深いものであると考えられる.
本研究は,AI創薬によるGLO I阻害剤の構造最適化を目指している.本研究で得られたTLSC702とGLO Iの結合様式データを用いることで,AI創薬による阻害剤の構造最適化設計が可能となる.また,新たに見出したGLO I阻害天然有機化合物の構造活性相関解析のデータもAI創薬に利用できる.これに基づいてAI創薬,有機合成展開,その実測評価のフィードバックによる最適化プロセスを実行することで迅速に新薬リード化合物にたどりつくことが可能となると考えている.本研究は,AI創薬を駆使した最適医薬分子創製の新たな道を切り拓き,ひいては真のテーラーメイド医療の実現に大きく貢献することになると期待できる.
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