研究課題
基盤研究(C)
過去半世紀以上にわたり、細胞内で機能的に相互作用する分子の複合的ネットワークを構成する因子の同定(特に蛋白間相互作用)、そしてその細胞内ネットワークにより様々な状況に応答する生物学的プロセスに関わる分子メカニズムの解明が行われてきた。HaloTagNAPPA-MSは、既存技術では不可能な、in vivoサンプルの分子間相互作用のラベルフリー一斉解析技術であり、新規機器類は不必要で、既存技術の組み合わせ(HaloTag-NAPPAとMALDI-TOFMAS)で実施する。
新規ラベルフリー多対多インタラクトーム技術、HaloTagNAPPA-MSを構築し、これまで不可能な細胞内分子複合体相互作用の一斉解析を行った。鋳型DNAから蛋白質発現・捕捉した固相上の蛋白質に対し、ラベルフリーなヒト培養細胞ライセートを相互作用させ、質量分析による複合体の検出を行ったところ、陽性区画と共に数百種類の新規相互作用が検出された。評価実験では36%の再現性が確認された。陽性区画との比較フィッシャー正確性検定ではP値が、0.0319となり、P(0.05)で相似した結果となり、本技術のProof of conceptとなった。
HaloTagNAPPA-MSの利用で、まだ20程度のクエリであるにも拘らず、巨大な細胞内分子複合体コミュニケーション地図が構築された。この地図はこれまでにない学術的に卓越した成果である。この技術は今後ヒト共生微生物・感染菌の分泌分子群のネットワーク地図構築にも利用され新規疾患標的因子や新規薬用成分の一斉同定を可能にすることから、社会的意義が高い。それら結果を利用した新微生物薬品・健康食品・治療法開発などの社会的インパクトが期待される。これまで得られた結果は、既存技術に対する優位性、対費用効果の高さ、などから学術的・社会的インパクトが大きい。
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