研究課題/領域番号 |
19K05778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
宮内 啓介 東北学院大学, 工学部, 教授 (20324014)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ヒ素 / 亜ヒ酸酸化 / Pandoraea / バクテリア / 細菌 / 根圏 / モエジマシダ / 亜ヒ酸酸化細菌 / ファイトレメディエーション / クローニング |
研究開始時の研究の概要 |
土壌や水のヒ素汚染を浄化する方法として、植物を用いた浄化方法(ファイトレメディエーション)が有効な手段の一つとして考えられている。シダ植物の一種であるモエジマシダは、ヒ素高蓄積植物として知られており、環境中のヒ酸を根から吸収するが、亜ヒ酸はヒ酸に酸化してから吸収する。申請者は、モエジマシダ根圏から、亜ヒ酸酸化反応を行う細菌Pandoraea sp. NE5株を単離した。しかし、NE5株は従来知られている亜ヒ酸酸化酵素遺伝子を保持していない。そこで本研究では、NE5株の亜ヒ酸酸化機構や根圏でのヒ素吸収への関与の仕方を明らかにすることで、モエジマシダを用いたヒ素汚染浄化方法の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
ヒ素高蓄積植物であるモエジマシダは、環境中のヒ酸を根から吸収し、亜ヒ酸はヒ酸に酸化してから吸収する。亜ヒ酸酸化細菌Pandoraea sp. NE5株は、モエジマシダ根圏から単離された、亜ヒ酸酸化能を有する細菌である。しかし、そのゲノム配列からは、既知の亜ヒ酸酸化酵素遺伝子であるaioABに相同性をもつORFは見出されなかった。そこで、本菌の亜ヒ酸酸化に関与する酵素遺伝子を明らかにするとともに、モエジマシダ根圏での本菌の役割を探ることとした。 昨年度までの研究で、NE5株にトランスポゾン(Tn)を導入し、亜ヒ酸酸化能が低下した変異株を24株得ている。そのうち、oxidoreductaseと相同性を示すORF(LOCUS_16990)にTnが挿入された変異株が24株中4株確認され、それぞれ異なる部位に挿入されていたことから、このORFが亜ヒ酸酸化に関わっている可能性が強く示唆された。また、モリブドプテリン生合成に関与すると考えられるmoaD相同遺伝子にTnが挿入された変異株も取得された。本年度は、この2つを対象として破壊株の作成を試みた。ターゲット遺伝子の上下流1kbずつを含む破壊用プラスミド(Km耐性遺伝子及びsacB遺伝子をもつ)をNE5株に導入したが、Km耐性を指標にして相同組換えを起こした菌を選択する際、spontaneousにKm耐性をもつコロニーが発生し、破壊株の取得には至らなかった。NE5株を用いて検討した結果、Km耐性株が一定の確率で発生することが明らかとなったため、薬剤耐性遺伝子をクロラムフェニコール耐性遺伝子に変更した。その結果、moaD破壊株の作製に成功した。また、moaD破壊株は亜ヒ酸酸化活性を失っていた。これらの結果から、亜ヒ酸酸化活性をもつ酵素は、モリブドプテリンを補酵素として利用する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
破壊株の作成方法を確立することができたが、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子の同定には至っていない。また、モエジマシダの調達のタイミングの問題で、植物を用いた実験がまだできていない。
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今後の研究の推進方策 |
候補遺伝子の破壊を進めるとともに、亜ヒ酸酸化活性を示す時に特異的に発現する遺伝子の同定も行い、亜ヒ酸酸化酵素遺伝子の同定と解析まで行いたい。植物根圏における定着や植物のヒ素吸収への貢献度も探っていきたい。
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