研究課題/領域番号 |
19K05791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
前田 純夫 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (90335472)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | パーシスター / 大腸菌 / 細胞状態記憶 / バイオフィルム / 記憶 / トキシン-アンチトキシンシステム / 血清 / パーシスター細胞 / 細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
パーシスター細胞は、遺伝的には本来抗生物質感受性の細菌細胞が一時的な多剤耐性を獲得する現象として近年注目されている。申請者は最近、大腸菌の固相-気相バイオフィルム培養で高出現するパーシスター細胞が、常温下で数日~数週間もの長期に亘って保持される=パーシスター細胞の『記憶』現象を発見した。またこの『記憶』現象が、幅広い細菌種で起こる普遍性の高い現象であることも明らかにした(Front Microbiol 9:1396 2018)。本研究では、この『パーシスター細胞の記憶』現象の機構詳細を解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
パーシスター細胞は、遺伝的には本来抗生物質感受性の細菌細胞が一時的な多剤耐性を獲得する現象として近年注目されている。申請者は最近、大腸菌を固相-気相バイオフィルム培養することで高頻度出現するパーシスター細胞の記憶現象を見出した。 本研究では、この『パーシスター細胞の記憶』現象の機構詳細を解明することを目的とする。機構解析は、①関与遺伝子の探索、②記憶を誘導する他のtrigger等の探索、の二方面から進め、両結果を基にさらに③総合解析を行う。 今年度は、上記計画の②③を下記の複数の観点で行った。昨年度の②の解析では、抗生物質以外の致死的刺激に耐えて生残するパーシスター様細胞が、(1)パーシスター様細胞も固相-気相バイオフィルムで高頻度に出現すること、(2)パーシスター様細胞も一定の記憶現象を示すこと、(3)パーシスター様細胞の耐性も一過性の表現型であること、を見出していたが、これら3つの性質はパーシスター細胞と共通するため、これら2つの細胞集団の同一性の有無を検証した。しかし、その結果、この2つの細胞集団は、基本的には異なる集団であることを見出した。ただし、少数ではあるが、両耐性を持つ細胞の存在も確認した。また③の総合解析に関しては、昨年度、パーシスター細胞の2つのタイプ(type IとII)を各々定量する手法を確立したが、本年度は、新手法を用いて、typeIパーシスター細胞の記憶現象の再検証、およびtypeIIパーシスター細胞にも記憶現象の有無という新たな観点に関して、解析を試みた。その結果、新法でもtypeIパーシスター細胞の記憶現象を再検証できた。またtypeIIパーシスター細胞においても、(1)固相-気相バイオフィルム由来の細胞で高頻度に出現すること、(2)一定数の細胞増殖を経ても記憶現象を示すこと、(3)この表現型も一過性であること、を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は概ね当初計画に沿っていたが、コロナ後の経済状況の変化による実験資材生産の変化により、実験に必須の一部資材の入手が半年以上にわたり不可能となったため、研究進行に遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
上記の研究の遅れを取り戻すため、さらに計画を一年間延長し、進めていくこととした。
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