研究課題/領域番号 |
19K05850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
齊藤 玉緒 上智大学, 理工学部, 教授 (30281843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 有機ハロゲン化合物 / 生合成 / ポリケタイド合成酵素 / 細胞性粘菌 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞性粘菌に広く保存されている塩化ジベンゾフランは、抗菌活性を持つことやK562 leukemia細胞などの増殖を抑制することなどが報告されている。申請者は子実体に蓄積する塩化ジベンソフランを含む有機塩化化合物(LCC)がハイブリッド型ポリケタイド合成酵素(PKS)であるSteelyB 酵素の他に類を見ないダイナミックな構造変化によって合成されることを発見した。本研究は細胞性粘菌にのみ見られるSteely酵素を構成するI型とIII型PKSの融合と分離の意義を問うものであり、生体内でIII型PKSの機能制御の仕組みの理解と、その産物による微生物の生存戦略を明らかにするものである。
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研究成果の概要 |
細胞性粘菌の Steely酵素は、I型ポリケタイド合成素(PKS)とIII型PKSが融合するという構造を持つ唯一のPKSである。SteelyB酵素は発生の中期に予定胞子細胞で分化誘導分子を合成し、子実体期では柄細胞でIII型PKSを分離して塩化ジベンゾフランを合成する。本研究では、SteelyB酵素が子実体期に酵素を分離させることの意義、第2の産物である塩化ジベンゾフランの生態学的な意義を解析した。その結果、異なる産物合成へのスイッチは酵素の分離よりも発現場所の変化が重要であること、また、LCC-1は強い抗菌活性を示し、欠損株は細菌を捕食した場合、胞子塊形成にも影響が出ることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では細胞性粘菌にのみ見られるSteely酵素を構成するI型とIII型PKSの融合と分離の意義を考えた。融合はIII型PKSの基質特異性の低さを補い単一の産物の合成に寄与し、分離は特異性の低さと酵素活性の高さを利用して複数の産物を合成することにつながることがわかった。この成果は生体内でのIII型PKSの機能制御の仕組みを理解するもので、生物を利用した有用物質創出に波及効果を持つ。また、本研究は有機塩化化合物の生態学的な意義の理解も目指したもので、その結果はAmpicillinと同等の最小生育阻止濃度を持つ抗菌物質を見つけ出すことにつながった。
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