研究課題/領域番号 |
19K05862
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
平井 静 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 准教授 (90432343)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 胎生期低栄養 / 糖質制限 / 腸内細菌叢 / 肥満 / 糖代謝 / 腸内細菌叢移植 / 無菌マウス / 菌叢移植 / 短鎖脂肪酸 / 生活習慣病 / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
周産期の女性における低栄養状態は次世代において肥満や生活習慣病の発症リスクを高めることが知られているため、早急に対策が必要である。我々はこれまでの研究において、マウスの妊娠期糖質制限は、たんぱく質制限とは異なり、出生仔において高脂肪食誘導性の肥満や糖・脂質代謝異常を増悪化することはなく、むしろ糖代謝を改善することを見出している。 本研究では、肥満や糖尿病などの病態形成に影響を及ぼすことが報告されている腸内細菌叢に着目し、妊娠期糖質制限が次世代の腸内細菌叢に及ぼす影響を明らかにするとともに、菌叢変化と糖代謝改善作用との関連性の解明および食品成分による菌叢変化を介した糖代謝改善作用の検討を行う。
|
研究成果の概要 |
マウスの妊娠期糖質制限による次世代の肥満・糖代謝改善作用に、腸内細菌叢変化が関与する可能性を検証した。妊娠後期に対照食または糖質制限食を給与したマウスから出生した仔マウスの離乳直後の糞便を用いて腸内細菌叢解析を行ったところ、糖質制限群の腸内細菌叢は対照群とは異なるクラスターを形成していた。そこでこの腸内細菌叢を無菌マウスに移植し高脂肪食を負荷したところ、対照群と比較して糖質制限群では有意な体重および内臓脂肪重量の低下、経口糖負荷試験における血糖値の有意な低下が認められた。以上の結果より、妊娠期糖質制限により認められる次世代の肥満・糖代謝改善作用は、腸内細菌叢の変化を介していることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
妊娠期低栄養は、一般的に次世代において肥満や生活習慣病発症リスクを高めるといわれてきた。一方、我々がこれまでに実施したマウスの妊娠期における糖質のみの制限は、次世代において肥満や糖代謝異常を改善する。本研究ではそのメカニズムに腸内細菌叢が関与することを見出した。この成果は、周産期栄養学において新たな知見をもたらしただけでなく、周産期における腸内細菌叢の改善に寄与しうる食事介入が次世代で生じうる肥満や糖代謝異常の予防に繋がることを示唆していることから、予防医学・先制医療に貢献する極めて社会的意義のある成果であるといえる。
|