研究課題/領域番号 |
19K05883
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
曽根 英行 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (90398511)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ビオチン / 肥満 / レプチンシグナル / 自発性活動量 / 甲状腺 / アドレナリン / 甲状腺濾胞細胞 / 甲状腺ホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに申請者らは、ビオチンによる2型糖尿病改善を報告している。新たな作用機序として、摂食抑制とエネルギー代謝亢進(交感神経系・甲状腺ホルモン)による肥満(臓器内脂肪蓄積)改善が想定される。 本研究では、視床下部(副内側核VMH・室傍核PVN)と甲状腺を標的臓器として2つの視点からビオチンの効果と作用機序を検討し、ビオチンによる肥満改善を介した2型糖尿病予防への応用を目指す。共通する機序として、ビオチンによるエピゲノム制御(ヒストン修飾)と細胞内シグナル伝達系の亢進(Gキナーゼ活性化)を介した関連遺伝子の発現調節と情報伝達物質の分泌促進が推察される。
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研究実績の概要 |
高脂肪食誘導性肥満マウスを作製し、ビオチンによる肥満予防・改善効果について検討した。結果、高脂肪食摂食下、薬理量のビオチンは肝臓、精巣周囲脂肪、腎周囲脂肪の脂肪量を低下させ、摂食に因らない体重抑制効果を示すことが明らかにされた。オープンフィールドテストによる自発性行動量の解析から、ビオチンが肥満による活動量の低下を正常レベルまで回復させることを示し、これらの効果がビオチンによるエネルギー代謝亢進に起因することを明らかにした。しかし、レプチン受容体に異常のある過食性肥満2型糖尿病マウス(db/db)の検討ではビオチンによる体重抑制効果は一切認められず、ビオチンはレプチンシグナルの下流でその作用を増強することが示唆された。レプチンシグナルによるエネルギー代謝調節では、交感神経系と甲状腺ホルモン分泌が重要な役割を果たす。高脂肪食誘導性マウスでは、ビオチンによる血中甲状腺ホルモン(T4)及びアドレナリン濃度の上昇が認められ、甲状腺濾胞と副腎髄質がビオチンの有力な標的部位として示唆された。ラット甲状腺濾胞細胞株による検討では、ビオチンは細胞内Ca2+濃度には影響しないもののTSH刺激による細胞内cAMP濃度の上昇を増強することが示された。 以上、ビオチンは高脂肪食誘導性肥満に対する体重抑制効果を有し、甲状腺濾胞細胞でのcAMP濃度を増強し、甲状腺ホルモン分泌を亢進する。レプチンシグナルによる脂肪燃焼系では交感神経や副腎皮質から分泌されるカテコールアミンの効果が重要となるが、ビオチンによるアドレナリン分泌増強が認められたことから、ビオチンは甲状腺濾胞と副腎髄質においてcAMP産生を促進することでレプチンシグナルを増強し、エネルギー代謝を亢進することが推察される。
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