研究課題
基盤研究(C)
炭疽菌は重篤な人獣共通感染症の起因菌であり、生物テロの細菌兵器として社会的に重大な脅威を引き起こしてきた。炭疽菌はまた、食中毒や院内感染の起因菌であるセレウス菌と遺伝学的に近縁であり共通の病原性遺伝子も保持している。炭疽菌・セレウス菌の芽胞に汚染された土壌中の長期間の芽胞汚染や、院内感染セレウス菌への感染防御対策は動物・公衆衛生の両領域において重要な課題である。本研究では、耐熱性芽胞菌の発育制御のため使用されている食品添加物を用いて、炭疽菌・セレウス菌の芽胞からの発芽抑制と栄養型細胞の増殖抑制活性の作用機序を遺伝子レベルで明らかにすることを目指す。
食品添加物のグリシン、甘草抽出物およびL体・D体アミノ酸の炭疽菌芽胞の発芽阻止能と栄養型細胞の増殖能を確認した。Muller Hinton brothに炭疽菌ワクチン株34F2株芽胞液を植菌し、37℃で振とう培養しながらOD600を経時的に測定した。グリシン、甘草抽出物では芽胞発芽時の吸光度低下と24時間後の増殖がみられず、発芽抑制作用と増殖抑制作用を持つことが明らかになった。L体アミノ酸ではL-alanineが最も発芽促進作用が高く、D体アミノ酸では部分的な発芽抑制がみられたものの、L体・D体ともに24時間後の栄養型細胞への増殖が確認された。
この研究では、身近な食品添加物(グリシン、甘草抽出物)が炭疽菌という危険な細菌の芽胞(休眠状態の菌)の発芽を防ぎ、増殖も抑制することを発見しました。炭疽菌は生物兵器としても懸念される病原菌ですが、日常的に使用される安全な食品添加物で対策できる可能性が示されました。この知見は、食品保存技術の向上や、万が一の生物テロ対策における新しい防御手段の開発につながる重要な発見といえます。安全で入手しやすい物質による感染症対策の可能性を示した点で、学術的にも社会的にも大きな意義があります。
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