研究課題/領域番号 |
19K05891
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
仲谷 正 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (90300996)
|
研究分担者 |
山崎 一夫 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (30332448)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | ピロリジジンアルカロイド / 蜂蜜 / 茶 / 植物 / LC-MS/MS / 栄養補助食品 / 食品 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトに対し肝毒性および発癌作用を示す植物産生のピロリジジンアルカロイドとそのオキシド体 (PAs) による食品汚染が世界的に問題視されている。しかしながら標準品の供給体制が不十分なことが一因となり、その実態は明らかにされていない。本研究では、標準品の入手が困難なPAsに対しても対応できるPAsの新規分析法を開発後、国内に流通する植物由来の食品を対象にPAsの汚染実態を解明し、関連するPAs含有植物との比較調査を通じ汚染源の特定を試みる。また国民の経口摂取量を推定することにより、PAsのリスク管理に役立つ基盤情報を構築する。
|
研究実績の概要 |
2022年度は1) 蜂蜜中で検出されたPAの汚染源となった植物種の推定、2) 茶中におけるPAの再分析、3) 食用可能とされているがPA含有の恐れがある植物種のPA含有量の調査を実施した。 1)これまでに実施した蜂蜜中のピロリジジンアルカロイド(PA)汚染実態調査結果を基に、蜂蜜中ののPA濃度組成を解析することにより汚染源の可能性がある植物種の推定を行った。PA含有植物のうちそれぞれの科特有のPA種を、指標PAに設定して解析を進めた結果、分析した試料の55.2%はムラサキ科、15.0%はキク科を汚染源とし、29.4%はムラサキ科およびキク科の両植物種を汚染の起源とすることが推定された。またキク科植物を汚染の起源と推定した試料の多くは、キク科ツワブキ属またはフキ属を汚染起源とすることが推定された。得られた結果は2022年11月に第118回食品衛生学会学術講演会にて発表した。一方、外国産蜂蜜についてはPA濃度組成が国産のものより複雑なため、解析方法を考察中である。 2)茶中のPA測定結果を解析したところ、これまでの活用してきたLC-MS/MS測定条件ではクロマト上で夾雑物が十分除去できない数試料に遭遇した。そこで昨年度開発した新なLC-MS/MS測定条件を用いて再分析を実施し、茶中のPA含有量について高い精度で定量を行った。 3)20試料に対しPA含有量の調査を行った。調査は標準物資を指標としたターゲット分析に加え、PA特有のMSフラグメントパターンを指標としたノンターゲット分析を行い、各種データの解析は進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに1) 食品試料を対象とした新規PA分析法の開発、2) 蜂蜜中のPA汚染実態調査とヒトへの安全性評価、3)蜂蜜中のPA汚染源となる植物種の推定を行った(いずれも学会発表済)。現在は茶および数種の栄養補助食品中のPA汚染実態調査とヒトへの安全性評価、および一般には食用可能とされているがPA含有植物の恐れがある植物中のPA含有量調査が進行中である。 研究が当初の目的に対しやや遅れている原因として、計画当初予定していた分析法が研究途中で、多種多彩な成分を含む各種食品について十分対応しきれないことが判明し、その都度改良を行ったこと、コロナ下において研究活動に制限が生じたこと、研究所の移転およびその準備で予想以上の時間が費やされたことが理由として考えられる。一方、改良を重ねた新規分析法は、精製効果も高く、精度の高い定量が可能なものであることから、これまで論文発表されているいずれの分析法に比べ、高性能のものであることが考えられる。また我国において知見不十分下にある蜂蜜中のPA含有量に関する本研究結果は、食の安全性の観点から有意義な基盤情報になるものと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は1)茶および栄養補助食品中のPA汚染実態調査、および一般には食用可能とされているがPA含有の恐れがある植物中のPA含有量調査を終了し、2)1)の結果から短期・長期的なリスク評価を行う。また3)茶のPA汚染実態調査で得られたPA濃度組成を解析し、汚染源の推定を行う。すでに各試料のLC-MS/MS測定は終了しており、各データの解析は実行中である(今年度学会発表予定)。また蜂蜜中のPA汚染実態調査に関する各種データを今年度中に論文投稿する。 本研究課題における達成目標のひとつ挙げる新規分析法開発は、当初、効率的精製法以外のほか、多種多彩な基本骨格を有するPAの含有量調査に適用可能な方法、すなわち半定量法も組み入れた手法を想定していたが、取得データの解析が十分でなく期間内での達成が難しくなってきている。この点については引き続き解析を継続しつつ、特定な構造を有するPAのみに適用可能な方法の構築を最優先とし、取りこぼした課題点ついては、次回申請時に解決したい。
|