研究課題/領域番号 |
19K05901
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
野嶽 勇一 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (30332282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 豆乳の乳酸菌発酵ろ液 / 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) / 乳酸菌生産物質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスに対する乳酸菌生産物質の摂取実験を行う。全マウスから回収した血液の生化学的検査や肝臓の病理組織学的検査の結果に基づき、乳酸菌生産物質が示すNASH改善作用の特性を明らかにする。次いで作用機序を分子レベルで検討するために、DNAアレイ解析や定量PCR解析を介して、乳酸菌生産物質が肝実質細胞の遺伝子発現や代謝経路に及ぼす影響を明確にする。また、乳酸菌生産物質の摂取に伴う腸内細菌叢の変動がNASH症状の改善に関与している可能性も検討する。最終的には乳酸菌生産物質に含まれるNASH改善作用を示す生理活性物質の単離・同定実験にも取り組む。
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研究成果の概要 |
16種の乳酸菌を用いて調製した豆乳の乳酸菌発酵ろ液(本ろ液)が複数の有用作用を示すことを明らかにしてきた。本研究では5週齢の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)モデルマウスに、本ろ液の凍結乾燥粉末を混合した高脂肪飼料を 4週間与えた。その結果、対照群よりも肝重量と血漿TG値が低下し、NAFLD activity scoreの減少や脂質の沈着の抑制、炎症性細胞の浸潤の減少が見出され、本ろ液に脂質代謝やNASH病態に対する改善作用があることが示唆された。この作用機序を検討する中で、本ろ液が肝臓の脂質合成系遺伝子の発現量を部分的に変動させたことと、プレバイオティクス作用を示すことが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、肝疾患と腸内細菌叢との深い関連性が注目されているが、乳酸菌を用いた発酵食品(特にバイオジェニックスに分類される食品)が腸内環境の改善を介してNASHの抑制に関与していることを示唆する報告は未だ十分ではない。本研究で研究対象とした豆乳の乳酸菌発酵ろ液は、調製の最終工程(ろ過)で乳酸菌そのものを除去していることから、腸管との観点からはバイオジェニックスに分類される。したがって、本発酵ろ液が脂質代謝やNASH病態に対する改善作用を有することを強く示唆する今回のデータは、今後の医・食両分野の研究にとって大変意義のあるものであると評価している。
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