研究課題
基盤研究(C)
多発性硬化症(MS)は遺伝的要因が大きく関与する中枢神経系炎症疾患であるが、腸内細菌を始めとする環境因子が発症や重篤化に多大な影響を与えることが明らかになってきた。MS患者の腸内細菌叢が健常人と異なるとことを示す結果が、この2~3年の間に立て続けに報告された。次のステップとして、腸内細菌叢を制御することにより発症したMSの症状を緩和できるかという、根幹となる疑問を検証する必要がある。本研究提案では、 MS治療のターゲットとなる腸内細菌を同定するとともに、 食事由来成分による関与菌の制御法の確立を目指す。
本研究では、食事由来成分による腸内細菌制御を介したMS予防・治療法確立に向けた基盤の構築を目指す。ヒト腸内細菌14菌株を定着させたマウスに無繊維餌を与えることで、実験的自己応答性脳脊髄炎(EAE)が悪化した。また、このマウスはAkkermansiaの増加や短鎖脂肪酸(SCFA)の増加といったMS患者の腸内環境の特徴を示すことが明らかになった。そこで、AkkermansiaやSCFAのEAE病態への影響を検討したが、これらはEAE病態に影響しなかった。一方、無繊維餌を投与したマウスでは代謝産物Xが増加しており、これがEAEにおける炎症反応促進に寄与している可能性を見出した。
多発性硬化症(MS)は未だ根本的治療法が確立されていない自己免疫疾患である。近年、アジアなどを中心に世界的に患者数が増加しており、効果的な予防・治療法の確立が求められている。これまでにMS患者の腸内細菌叢解析やマウスを用いた研究から、腸内細菌叢がMSの発症・重篤化において重要な役割を果たすことが明らかになってきた。本研究では、MS患者の腸内環境をマウスで再現することに成功し、さらにそのマウスがより重篤な症状を呈することを明らかにした。また、この重篤化には食物繊維摂取量が大きく影響し、その作用機序の詳細に迫ることができた。本研究は食事によるMS予防法確立に向けた基盤の構築に繋がると考えられる。
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