研究課題/領域番号 |
19K05920
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
吉田 秀幸 福岡大学, 薬学部, 教授 (20301690)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 下痢性貝毒 / オカダ酸 / 誘導体化分析 / LC-MS / フルオラスケミストリー |
研究開始時の研究の概要 |
我々の特許技術「フルオラス誘導体化法」をLC-MS分析に組み込むことで,下痢性貝毒成分であるオカダ酸群やアザスピロ酸群を対象とした新規分析法の構築を目指す。本研究によって,従来の分析法より優れた,簡便・高感度・特異的・高精度な下痢性貝毒評価法が開発される見込みである。更に,最適化した方法論をバリデートした後,二枚貝試料に対する下痢性貝毒成分のモニタリングを実施する。
|
研究実績の概要 |
食用の二枚貝には毒素を含むものがあり,食の安心・安全を担保するためにも,正確かつ迅速な貝毒分析が不可欠である。そこで,我々の特許技術「フルオラス誘導体化法」とLC-MSとを組み合わせ,下痢性貝毒成分であるオカダ酸群を対象とした新規分析法の構築を目指している。(1)前処理を兼ねた簡便な誘導体化操作,(2)高感度化の作用があるフルオラスLC分離,(3)選択性の高いMS/MS検出,の連結により,従来の公定法である誘導体化を伴わないLC-MS/MS法を凌駕した,簡便・高感度・特異的・高精度な分析法の構築に繋がることが期待される。 研究四年度目は,初年度から三年度目の成果である認証標準物質(ホタテガイ中腸腺)で最適化したオカダ酸及びその類縁物質(ジノフィシストキシン-1及び-2)との同時分析法に対する感度・選択性向上のための新たなアプローチとして,カルボキシ基を対象とした新規LC-MS用誘導体化試薬の開発を試みた。(1)永久電荷を有するトリフェニルピリジニウム構造を持つ誘導体化試薬は,疎水性・永久電荷(イオン性)・反応部位を併せ持ち,MS感度が飛躍的に向上することが確認された。(2)MSでのインソース分解を抑制する誘導体化試薬を開発することで,MS検出が困難な易分解性マリントキシンの特異的な検出に繋げることができた。(3)ジアステレオマー化を伴うフルオラスキラル誘導体化試薬を開発し,モデル化合物としたアミノ酸の光学異性体を対象とした分離分析も可能となった。 これらの成果はオカダ酸関連化合物の定量にフィードバック可能なものばかりであり,感度や操作性の改良に寄与するものと思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フルオラス誘導体化LC-MS法を下痢性貝毒の分析に適用するため,前年度までのオカダ酸及びその類縁物質に対する分析法構築に続き,感度・選択性向上のための新たなアプローチを三方面にわたり試みた。研究の過程において「研究実績の概要」に記したとおり十分な成果が得られており,概ね順調に進展しているものと判断される, なお,研究期間を延長するのは研究が進展していないからではなく,一部の特殊な試薬の納期が遅延しているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に開発した新規誘導体化技術のオカダ酸関連化合物への適用を試みる。(1)トリフェニルピリジニウム構造を持つ誘導体化試薬,(2)インソース分解を抑制する誘導体化試薬,(3)フルオラスキラル誘導体化試薬,を効果的に用いることで,感度や操作性の向上が期待される。 研究期間・予算に余裕があれば,実験動物を用いた貝毒成分の体内動態解析にも挑戦したいと思っている。
|