研究課題
基盤研究(C)
結晶構造解析やケミカルスクリーニングにより新規に開発した化合物の利用や、人工的に改変したHDACをコードする遺伝子を利用することで、植物が環境ストレス耐性を保持しつつ、稔性を維持できる手法の開発を目指す。
生命の遺伝情報を刻むDNAを折り畳む働きを有するヒストンは、そのN末端で起こるアセチル化等の化学修飾を介して、遺伝子発現を制御する。植物の環境ストレス応答でもその化学修飾を介して重要な役割を果たすことが知られている。代表者はヒストンの脱アセチル化を触媒するHDACの一つ、HDA19の機能抑制がシロイヌナズナの環境ストレス耐性を高めることを見出している。本研究では、HDA19の構造改変によりストレス耐性を高めつつ、結実性低下等の不良形質を回避できることを示した。また、HDA19の酵素活性測定系やクラスI HDAC活性阻害を可視化する系の確立により、HDA19等へ作用する化合物探索を可能とした。
化合物処理という一過的な活性調節は、不稔などの農業上の不良形質の顕出を抑制する効果が期待できる。本研究で確立したin vivoやin vitroでのアッセイ系を利用することで、新規の化合物探索が可能となった、今後はよりオフターゲットの少ない、植物HDACにのみ作用する化合物の探索を進め、より緻密なストレス耐性操作方法の確立が期待できる。また、本研究期間内に国際共同研究も展開できており、HDA19が非ヒストンタンパク質の脱アセチル化修飾にも関与することが示唆されている。更なる解析を進めることで、新規のストレス耐性付与機構の同定が期待できる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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