研究課題/領域番号 |
19K05968
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
服部 束穂 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10164865)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 胚乳 / 運命特定 / 細胞分化 / 非対称分裂 / レーザーマイロダイセクション / RNA-seq / 並層分裂 / イネ / アリューロン層 / デンプン性胚乳 / LMD |
研究開始時の研究の概要 |
私たちがコメとして食べてるイネ種子の胚乳は、主に、デンプン性胚乳(SE)と最外層にあるアリューロン層(AL)から構成されてる、両組織の細胞は極めて異なる性質を持つ。SE細胞は肥大して不規則な形なのに対し、AL細胞は厚い細胞壁をもち、油脂を多量に貯蔵し、小さく規則正しい形をしている。胚乳が形成される初期においては最外層で分裂した細胞のうち内側に置かれた細胞はSEに外側に置かれた細胞はALになる運命を持つ。本研究ではこのように細胞運命が分かれていくメカニズムを問うものであり、コメの細胞が作られていく仕組みの核心部分に関する研究といえる。
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研究実績の概要 |
本研究は、イネ胚乳の内部を占めるデンプン性胚乳細胞(SE)と最外層に位置するアリューロン細胞(SE)という2種類の構成細胞が初期胚乳細胞より分化するメカニズムを中心に、胚乳発生の分子機構を明らかにすることを目的とする。 胚乳の発生は受精中央細胞核の細胞質分裂を伴わない分裂を行い、生じた数千の核が細胞内周に1層に配置された多核細胞(シンシチウム)を形成した後、遊離核間に垂層細胞壁が形成されアルベオリという区画が出来る。アルベオリ層(1 層)は並層分裂により、外側に完全細胞層と内側にまたアルベオリ層を生じる。さらにアルベオリと外側細胞はそれぞれ並層分裂を繰り返す。この過程を細胞化という。この際、最外層における並層分裂では、内側に配置された細胞は、常にSEへの分化運命を辿るのに対し、外側細胞は、再び並層分裂により内側へSE運命を辿る細胞を作り出すとともに最終的にAL細胞に分化する。原理的には、最初の並層分裂は非対称分裂であるが、その実態は未知であった。 前年度までに、アルベオリ層並層分裂後の 2 細胞層期後期には SE および AL 分化につながるAL/SE 運命特定が行われていることを LMD-RNAseq によりつきとめた。本年度は、さらに詳細な時空間的トランスクリプトーム解析を行い、表皮分化のマスターレギュレータ(Type IV HD-ZIP 遺伝子群)が シンシチウム期から発現しており、2 細胞層期後期に外側細胞に発現が限定されることを明らかにした。すなわち、シンシチウム期の核は表皮的性質の発現を開始しているものと推定された。さらに同じトランスクリプトームまた同解析により、AGPL2 など胚乳特異的デンプン合成系遺伝子の発現がシンシチウム期から 1 細胞層期にかけて顕著に上昇することが明らかになり、胚乳としての運命の歩みがアルベオリ(1 細胞層)期からすでに始まっていることを明らかにした。
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